トリブラに愛を注ぎつつ、私的おすすめ本の紹介や、読んだ本にまつわるssなど、思いつくままに・・・
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お越しいただき、ありがとうございます
ここでは、私、慧仲茜が、
思いつくままに趣味をかきつくっているのですが、
だいぶと散らかってきたので(汗)、自分のためにも、内容を整理してみました。
ここでは、主に、
・短編や未完成モノなど、思いつくまま書いた二次創作物
・読書記録(オススメ本の紹介)
を置いております。(Last up:2011.7)
①二次創作
※長編(主にトリブラ)や拍手・期間限定品は鏡幻屋HpのSide-Akane.Eなどの各部屋にあります。
☆Trinity Blood
・マタイ傭兵時代ss
・最終戦争後の模造話ss(アベルとアスト)
★忍たま/落乱
・長編(全10話):6は組の1年生時模造話「落第忍者伊作」
(カテゴリ「忍たま:落・伊←!?」)
※カテゴリTOPにもくじつき
・長編(全8話):オールキャラで「委員会対抗のサバイバル鬼ごっこ」
(カテゴリ「忍たま:サバ鬼」)
※カテゴリtopにもくじつき
・アニメ18期「気持ちよく泣かせての段」の伊作&留三郎 with 6年生バージョンss
(カテゴリ「忍たま」)
☆GB
・長編(全7話):「夢幻の華」(オールキャラ気味・神話パラレル風)
★その他(カテゴリ「ss」)
・名探偵コナン(コナン×快斗っぽいもの)
・伊坂さんの『魔王』
・戦国BASARA(主に慶ちゃんと秀吉)
※ご参考までに・・・各部屋にアップさせていただいたジャンルは、以下。
(詳しくは、Side-Akane.Eをご覧ください)。
・Trinity Blood
・モノクローム・ファクター
・黒執事
・柳広司『ジョーカー・ゲーム』シリーズ
・栗原ちひろ『オペラ』シリーズ
・伊坂幸太郎『陽気なギャングが地球を回す』シリーズ
②読書記録(オススメ本の紹介)
☆過去の紹介書籍(紹介の新しい順)
・湊かなえ『花の鎖』
・樹川さとみ『楽園の魔女たち』
・東川篤哉『謎解きはディナーのあとで』
・結城光流『我、天命を覆す』
・夏川草介『神様のカルテ1,2』
・湊かなえ『往復書簡』
・伊坂幸太郎『オー!ファーザー』
・加藤実秋『インディゴの夜』シリーズ
・伊坂幸太郎『あるキング』
・柳広司『ダブル・ジョーカー』
・柳広司『ジョーカー・ゲーム』
・谷瑞恵『伯爵と妖精』シリーズ
・ナンシー・スプリンガー『エノーラ・ホームズの事件簿』シリーズ
・雨木恵『アネットと秘密の指輪 お嬢様のお気のままに』
・伊坂幸太郎『ゴールデンスランバー』
・田中芳樹&荻野目祐樹『野望円舞曲』シリーズ
・成田良悟『バッカーノ!』シリーズ
・片山愁『続東京浪漫細工』
・伊坂幸太郎『魔王』
・太田忠司『甘栗と金貨とエルム』
・恒川光太郎『夜市』
・蒼井上鷹『ハンプティ・ダンプティは塀の中』
・はやみねかおる『怪盗クイーン』シリーズ
・乙一『銃とチョコレート』
・栗原ちひろ『オペラ・メモーリア』(カテゴリ「トリブラ」にあり)
それでは、よかったらお付き合いください♪
ここでは、私、慧仲茜が、
思いつくままに趣味をかきつくっているのですが、
だいぶと散らかってきたので(汗)、自分のためにも、内容を整理してみました。
ここでは、主に、
・短編や未完成モノなど、思いつくまま書いた二次創作物
・読書記録(オススメ本の紹介)
を置いております。(Last up:2011.7)
①二次創作
※長編(主にトリブラ)や拍手・期間限定品は鏡幻屋HpのSide-Akane.Eなどの各部屋にあります。
☆Trinity Blood
・マタイ傭兵時代ss
・最終戦争後の模造話ss(アベルとアスト)
★忍たま/落乱
・長編(全10話):6は組の1年生時模造話「落第忍者伊作」
(カテゴリ「忍たま:落・伊←!?」)
※カテゴリTOPにもくじつき
・長編(全8話):オールキャラで「委員会対抗のサバイバル鬼ごっこ」
(カテゴリ「忍たま:サバ鬼」)
※カテゴリtopにもくじつき
・アニメ18期「気持ちよく泣かせての段」の伊作&留三郎 with 6年生バージョンss
(カテゴリ「忍たま」)
☆GB
・長編(全7話):「夢幻の華」(オールキャラ気味・神話パラレル風)
★その他(カテゴリ「ss」)
・名探偵コナン(コナン×快斗っぽいもの)
・伊坂さんの『魔王』
・戦国BASARA(主に慶ちゃんと秀吉)
※ご参考までに・・・各部屋にアップさせていただいたジャンルは、以下。
(詳しくは、Side-Akane.Eをご覧ください)。
・Trinity Blood
・モノクローム・ファクター
・黒執事
・柳広司『ジョーカー・ゲーム』シリーズ
・栗原ちひろ『オペラ』シリーズ
・伊坂幸太郎『陽気なギャングが地球を回す』シリーズ
②読書記録(オススメ本の紹介)
☆過去の紹介書籍(紹介の新しい順)
・湊かなえ『花の鎖』
・樹川さとみ『楽園の魔女たち』
・東川篤哉『謎解きはディナーのあとで』
・結城光流『我、天命を覆す』
・夏川草介『神様のカルテ1,2』
・湊かなえ『往復書簡』
・伊坂幸太郎『オー!ファーザー』
・加藤実秋『インディゴの夜』シリーズ
・伊坂幸太郎『あるキング』
・柳広司『ダブル・ジョーカー』
・柳広司『ジョーカー・ゲーム』
・谷瑞恵『伯爵と妖精』シリーズ
・ナンシー・スプリンガー『エノーラ・ホームズの事件簿』シリーズ
・雨木恵『アネットと秘密の指輪 お嬢様のお気のままに』
・伊坂幸太郎『ゴールデンスランバー』
・田中芳樹&荻野目祐樹『野望円舞曲』シリーズ
・成田良悟『バッカーノ!』シリーズ
・片山愁『続東京浪漫細工』
・伊坂幸太郎『魔王』
・太田忠司『甘栗と金貨とエルム』
・恒川光太郎『夜市』
・蒼井上鷹『ハンプティ・ダンプティは塀の中』
・はやみねかおる『怪盗クイーン』シリーズ
・乙一『銃とチョコレート』
・栗原ちひろ『オペラ・メモーリア』(カテゴリ「トリブラ」にあり)
それでは、よかったらお付き合いください♪
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本格的にハマっちゃってます。
アンリミこと、THE UNLIMITED 兵部京介。
アニメも毎回何回も観つつ(え)、今は可憐GUY'Sをヘビロテ(苦笑)
それには飽きたらず、とうとう過去のキャラソンやドラマCDにも手を出したり・・・
もはや、笑うしかない諏訪部さん効果。
まぁ、とはいえ本編にも過去のCDにも、諏訪部さん演じるアンディさんは出ていないわけですが・・・
そ・こ・で
「過去のオーディオドラマに、アンディさんが出たらどうなるか?」という妄想が、現在進行形で膨らんでおります(え)
手始めに、コチラを・・・
お心優しい方は、どうぞおつきあいくださいませ。
*******************
「絶対可憐チルドレン キャラクターCD 5th session/兵部京介」
トラック3:ショートドラマ「兵部の休日~パンドラの一番暑い日」より
「もしも、ショートドラマ「兵部の休日」にアンディ・ヒノミヤが出演したら・・・」
【これまでのあらすじ】
桃太郎の修理をするために、真木とともに旧陸軍の施設跡へ入った兵部。
そこで、彼は偶然バベルの皆本と遭遇し・・・
かくして兵部と皆本は、真木(と桃太郎)を巻き込んでのサウナ対決となったのであった。
のだが・・・
「ああ、ちょっと待て」
兵部は、勝負に燃える一同ーー皆本、真木、桃太郎を片手で制した。
「なんだ?急にどうした兵部」
「いやなに、せっかくこんな素敵な勝負になったんだ。
勝負には盛り上げ役が必要だろう?」
兵部は、いたずらを思いついた子供のように笑うと、パチンと指を鳴らした。
すると・・・
「どわぁぁっ!」
突然、誰もいなかったはずの空間に、一人の青年が現れた。
青年の出現は、当人にとっても予期できなかったことであるらしく、彼は着地に失敗したように盛大に尻餅をついた。
「いってぇ・・・」
痛そうな顔をしながら辺りを見回した青年は、自分が、今までいたはずの空間とは全く違うところにいることに気づく。
「ってあれ・・・?俺、なんでこんなトコに?」
「やはりリミッターをつけていたか。ちゃんと言いつけを守っているようで僕はうれしいよ、ヒノミヤ」
状況がのみこめぬ青年ーーパンドラのスーパールーキー、アンディ・ヒノミヤに向かって、兵部は満足そうに声をかけた。
兵部の姿を目にするや、ヒノミヤは状況を理解した。
「って、兵部!さてはてめぇ、また俺を勝手に瞬間移動で呼び寄せやがったな!」
「これから僕は、ここで皆本くんと決着をつける。
勝負には見届け役が必要だ。君もつきあいたまえ」
「はぁっ!?だからって、なんで俺を呼び出す必要があるんだよ?
そんなモン、当人同士で勝手にやってりゃいいだろ?俺は付き合わねぇからーー」
ヒノミヤが、あきれ口調で立ち去ろうとすると、兵部が彼のジャケットの後ろ襟をおもむろに掴んだ。
「まて、ヒノミヤ。
これは、パンドラのリーダーである僕の命令だ。素直に従いたまえ、新入りくん」
兵部の有無を言わせぬ口調に、ヒノミヤは反抗心たっぷりの目を向ける。
「・・・ちっ。こんな時だけ、リーダーぶりやがって・・・」
「少佐の命令だ。おとなしくそこに座れ、ヒノミヤ」
このとき、ヒノミヤの背後から真木の声がした。こちらもこちらで、普段仕事の指示をするのと何一つ変わらぬ命令口調である。
「って、真木さんまで・・・
へいへい。座りゃいいんだろ、座りゃあさ」
あんたは、単に道連れがほしかっただけだろ・・・
という言葉は飲み込んで、ヒノミヤは仕方なく兵部の言われるがままに腰を下ろした。
(ったぁく、バベルとパンドラの上層部の個人的な諍いなんて、勝手にやってろっつの・・・)
ふてくされた顔をして頬づえをつきつつ、ヒノミヤは、しぶしぶ勝負に付き合う羽目になったのであった。
「せっかく呼んでやったんだ。ありがたく思えよ」
「思うかよ!!」
そして・・・
「10分経過。室温・・・95度・・・」
真木は、手元の時計と温度計をみて、冷静に告げた。
しかし、その声はすでに限界をこえた人間のように苦しげである。
それもそのはずーー。
室内の温度は、すでに通常の人間が耐えうるレベルを越えているのだから。
エスパーだとかノーマルだとかはもはや関係なく、大概の人間であれば、失神しておかしくない。何しろ、あと5度でお湯も沸騰する暑さ・・・いや、「熱さ」なのだから。
しかし、それほどの異常な室温にもかかわず、室内に残るものたちは皆、暑苦しい服装のまま、必死にこの状況に耐えている。
皆本がネクタイをゆるめれば、これ見よがしに兵部がつっこみを入れ、その兵部が学ランの上着を脱げば、それもまた皆本が厳しく指摘してくる。
まだ脱ぐものがある彼らは、まだいい。
決して脱ぐことのできない毛皮スタイルの桃太郎は、この熱さを調節することすらできない。
それどころか、「いかにもむさ苦しいちょいワル風の黒スーツ」の真木は、兵部の命令すら逆らって、スーツのジャケットも脱ごうとしない。
「やれやれ・・・いつからそんなに頑固になっちゃったのかねぇ。
君だって小さい頃はあんなに素直なーー」
「15分経過!室温115度!」
兵部が肩をすくめて言うと、真木は耐えかねたのか強引にも叫ぶ。
「話そらした・・・パンドラってのは、こんな奴ばっかりか?」
皆本は、あきれた様子でつぶやいた。
それをきいて、ヒノミヤは、いや、頼むから、そこに俺をいれないでくれよ、と密かに懇願したのであった。
(・・・あー・・・まったく・・・やってらんねぇな・・・)
っていうか俺、こんなところで何してんだろ、とヒノミヤは思う。
一応、目の前にいるのは、エスパー史上最悪の犯罪者のはずであるが、今のヒノミヤには、それすら疑わしい。
どうみたって彼らは、しょーもないことで意地を張りあう負けず嫌いのガキだ。
(真木さんも真木さんだよなぁ。
こんなときくらい、兵部のやつを止めりゃいいのに。
自分まで意地張ってスーツ着ちゃって。どう見たって限界超えてるよありゃ。
こういうときは、腹心が上司をいさめるってのが、日本の忠義ってやつじゃねぇの?)
ヒノミヤが、あきれ顔もあらわに一同を見ていると、ふと、彼に視線を向けるものがいた。兵部だ。
「そういえばーー
きみは、そんな暑苦しそうなジャケットを着ていながら、先ほどから脱ごうともしないね。大して汗もかいていないようだ」
「本当だ。すごいな、きみ」
やっぱり、合衆国の軍人教育ってのはそれなりにすごいんだ、という言葉は兵部のいる手前のみこんで、皆本は目線だけでヒノミヤに賞賛の意を示す。
そういえば、彼はなかなかにいい体つきをしているようだし、きっとこれも、普段からの鍛錬の積み重ねによるものなのだろう。自分も見習わねば・・・と、皆本が感心していると。
「あ、いや・・・これはその、なんつーか・・・
俺、ESP無効化できるから、兵部が超能力で作り出したこの空間じゃ、効果も薄いっつーかなんつーか・・・」
気まずそうに告白したヒノミヤの言葉に、全員が一斉に表情を変えた。
「「「「な・・・っ!なんだとっ!?」」」」
一同の鋭い目が、一斉にヒノミヤに向けられる。
そういえば、彼が首から下げているリミッターが、いつの間にやらオフになっているではないか!
きっと、先刻立ち去ろうとした時のどさくさにまぎれて、ちゃっかり自分のリミッターをオフにしていたのだ。
その甲斐あって、彼には今、この空間はせいぜい「ちょっとあつめのお風呂」ぐらいにしか感じられていないのである。
「なっ・・・なにも、そんな怒ることはねぇだろ!
だいたい、俺は兵部とバベルの職員が決闘するから、その見届人として呼ばれただけだし、俺の勝敗はぶっちゃけ関係ねぇっつーか・・・」
「じゃあなにか、先ほどから君は、僕らがむせるような熱さを必死に我慢して地獄を味わっているのを、涼しい顔をしてみていたというのか!」
兵部は、怒りも露わにヒノミヤに詰め寄った。すると、背後で皆本が鋭く指摘する。
「あっ!今熱いって言ったな、兵部!僕は確かに聞いたぞ」
「今は揚げ足取りをしている場合か皆本!この男は、僕たちの真剣勝負を、ずっとあざ笑って見ていたというんだぞ」
「だれもそんなこと言ってねぇだろーが!」
とんだとばっちりに、ヒノミヤは声を荒げた。しかし、残念ながら兵部には全く聞こえなかったようだ。
「はぁ・・・。どうりで先ほどから頭痛がすると思ったら、君が原因か、ヒノミヤ」
「おうおう。ひどいぞ新入り」
ヒノミヤの背後で、あきれた声があがった。真木と桃太郎だ。
「あー・・・その点に関しては、すんません。できるだけ、二人からは離れたつもりでいたんですけど・・・」
二人の非難はもっともだったので、ヒノミヤは申し訳なさそうに頭を掻いた。
すると、兵部が突然とんでもないことを言い出した。
「とにかく、きみ!
さっさとその首からかけているリミッターをオンにしたまえ!」
「はぁっ!?イヤに決まってんだろ!」
「せっかく僕がプレゼントしたものなんだぞ!ありがたく使いたまえよ!」
「そうだぞきみ!この状況で、ひとりだけ楽な思いをしているだなんて卑怯だ!」
兵部の攻撃に、本来敵同志であるはずの皆本まで加わり、ヒノミヤは頭を抱えた。
「ってええ!?
なんだよこの二人。いつもはいがみ合ってるクセに、こんな時だけ都合よく結託しやがって・・・」
「皆本もそう言ってるじゃないか。さっさとリミッターをオンにしろ!するつもりがないなら、僕が強制的にでもオンにしてやる!」
「あーもーやってらんねぇ!」
ヒノミヤは、自分のリミッターに手をかけてきた兵部の腕を、逆に掴んだ。突然のことで、動揺する兵部。
「なっ・・・!なにをするヒノミヤ!」
「こうするんだよっ!」
ヒノミヤは、驚く兵部の目をじっと見つめた。特徴的なオッドアイの、その左目が赤く光る。
すると・・・
突然、室内の温度が一変した。
吹き出していた多量の熱気は消え失せ、室内を満たしていた100度を超える空気ですら、まるで最初からなかったかのように肌の感覚からなくなっている。
「あ、あれ?熱くなくなった・・・?」
皆本は、突然の室内の変化に、戸惑いの声を上げた。
すると、となりで兵部が、あきれた様子で解説した。
「どうやら、彼が僕のESPを強制的に無効化してしまったらしい」
「あの、ヒノミヤという男が・・・?」
皆本は、驚いた様子で、ヒノミヤを見た。
(まさか・・・。兵部ほどの男のESPですら、無効化してしまうなんて・・・)
このとき、同じ感想を抱いたものがもう一人いた。真木である。
(あの男、確かに変わった超能力の持ち主とは思っていたが、まさか、あれほどまでにやりたい放題だった少佐の力ですら無効化してしまうとは・・・)
ふたりの男の奇異の目には薄々カンづきながらも、ヒノミヤはなにも言わなかった。
確かに、戦力を隠しておくという点においてみれば、さっきのは少々やりすぎだったかもしれない。
しかし、仕方なかったのだとも思う。これ以上、こんなめんどくさいことに付き合いたくはなかったのだ。
「さて、これで勝負は終わりだろ?俺は失礼するぜ」
あきれた様子で兵部と皆本を交互に見ると、ヒノミヤは二人に背を向けて歩きだした。
・・・って、ここはいったいどこだよ!?と、カタストロフィ号から強制的につれてこられたことを今更思い出し、あわてていると。
「ヒ~ノ~ミ~ヤ~ぁ!」
背後で、地獄からはいあがってきた亡者のような声が聞こえた。
寒気を感じ、おそるおそる彼が振り返ってみると・・・
「せっかくの皆本との勝負を、よくも台無しにしてくれたな!」
「もう少しで、兵部を打ち負かせるところだったのに!」
いがみ合っていたはずの兵部と皆本が、そろって恐ろしい表情をつくり、ヒノミヤを睨んでいた。
彼らの背後には、とんでもなく黒いオーラの固まりが見える。
とたんに、これまで大して汗をかいていなかったヒノミヤの額から、多量の汗が噴出した。
いや、これは熱さ故ではない。冷や汗(・・・)だ!
「・・・って、えぇぇぇっ!」
こうして、兵部と皆本の勝負はおあずけになったのであった。
ちなみに、この後、勝負に付き合わされた真木は、熱地獄とヒノミヤの能力にあてられたことにより、三日間体調を崩したという。
アンリミこと、THE UNLIMITED 兵部京介。
アニメも毎回何回も観つつ(え)、今は可憐GUY'Sをヘビロテ(苦笑)
それには飽きたらず、とうとう過去のキャラソンやドラマCDにも手を出したり・・・
もはや、笑うしかない諏訪部さん効果。
まぁ、とはいえ本編にも過去のCDにも、諏訪部さん演じるアンディさんは出ていないわけですが・・・
そ・こ・で
「過去のオーディオドラマに、アンディさんが出たらどうなるか?」という妄想が、現在進行形で膨らんでおります(え)
手始めに、コチラを・・・
お心優しい方は、どうぞおつきあいくださいませ。
*******************
「絶対可憐チルドレン キャラクターCD 5th session/兵部京介」
トラック3:ショートドラマ「兵部の休日~パンドラの一番暑い日」より
「もしも、ショートドラマ「兵部の休日」にアンディ・ヒノミヤが出演したら・・・」
【これまでのあらすじ】
桃太郎の修理をするために、真木とともに旧陸軍の施設跡へ入った兵部。
そこで、彼は偶然バベルの皆本と遭遇し・・・
かくして兵部と皆本は、真木(と桃太郎)を巻き込んでのサウナ対決となったのであった。
のだが・・・
「ああ、ちょっと待て」
兵部は、勝負に燃える一同ーー皆本、真木、桃太郎を片手で制した。
「なんだ?急にどうした兵部」
「いやなに、せっかくこんな素敵な勝負になったんだ。
勝負には盛り上げ役が必要だろう?」
兵部は、いたずらを思いついた子供のように笑うと、パチンと指を鳴らした。
すると・・・
「どわぁぁっ!」
突然、誰もいなかったはずの空間に、一人の青年が現れた。
青年の出現は、当人にとっても予期できなかったことであるらしく、彼は着地に失敗したように盛大に尻餅をついた。
「いってぇ・・・」
痛そうな顔をしながら辺りを見回した青年は、自分が、今までいたはずの空間とは全く違うところにいることに気づく。
「ってあれ・・・?俺、なんでこんなトコに?」
「やはりリミッターをつけていたか。ちゃんと言いつけを守っているようで僕はうれしいよ、ヒノミヤ」
状況がのみこめぬ青年ーーパンドラのスーパールーキー、アンディ・ヒノミヤに向かって、兵部は満足そうに声をかけた。
兵部の姿を目にするや、ヒノミヤは状況を理解した。
「って、兵部!さてはてめぇ、また俺を勝手に瞬間移動で呼び寄せやがったな!」
「これから僕は、ここで皆本くんと決着をつける。
勝負には見届け役が必要だ。君もつきあいたまえ」
「はぁっ!?だからって、なんで俺を呼び出す必要があるんだよ?
そんなモン、当人同士で勝手にやってりゃいいだろ?俺は付き合わねぇからーー」
ヒノミヤが、あきれ口調で立ち去ろうとすると、兵部が彼のジャケットの後ろ襟をおもむろに掴んだ。
「まて、ヒノミヤ。
これは、パンドラのリーダーである僕の命令だ。素直に従いたまえ、新入りくん」
兵部の有無を言わせぬ口調に、ヒノミヤは反抗心たっぷりの目を向ける。
「・・・ちっ。こんな時だけ、リーダーぶりやがって・・・」
「少佐の命令だ。おとなしくそこに座れ、ヒノミヤ」
このとき、ヒノミヤの背後から真木の声がした。こちらもこちらで、普段仕事の指示をするのと何一つ変わらぬ命令口調である。
「って、真木さんまで・・・
へいへい。座りゃいいんだろ、座りゃあさ」
あんたは、単に道連れがほしかっただけだろ・・・
という言葉は飲み込んで、ヒノミヤは仕方なく兵部の言われるがままに腰を下ろした。
(ったぁく、バベルとパンドラの上層部の個人的な諍いなんて、勝手にやってろっつの・・・)
ふてくされた顔をして頬づえをつきつつ、ヒノミヤは、しぶしぶ勝負に付き合う羽目になったのであった。
「せっかく呼んでやったんだ。ありがたく思えよ」
「思うかよ!!」
そして・・・
「10分経過。室温・・・95度・・・」
真木は、手元の時計と温度計をみて、冷静に告げた。
しかし、その声はすでに限界をこえた人間のように苦しげである。
それもそのはずーー。
室内の温度は、すでに通常の人間が耐えうるレベルを越えているのだから。
エスパーだとかノーマルだとかはもはや関係なく、大概の人間であれば、失神しておかしくない。何しろ、あと5度でお湯も沸騰する暑さ・・・いや、「熱さ」なのだから。
しかし、それほどの異常な室温にもかかわず、室内に残るものたちは皆、暑苦しい服装のまま、必死にこの状況に耐えている。
皆本がネクタイをゆるめれば、これ見よがしに兵部がつっこみを入れ、その兵部が学ランの上着を脱げば、それもまた皆本が厳しく指摘してくる。
まだ脱ぐものがある彼らは、まだいい。
決して脱ぐことのできない毛皮スタイルの桃太郎は、この熱さを調節することすらできない。
それどころか、「いかにもむさ苦しいちょいワル風の黒スーツ」の真木は、兵部の命令すら逆らって、スーツのジャケットも脱ごうとしない。
「やれやれ・・・いつからそんなに頑固になっちゃったのかねぇ。
君だって小さい頃はあんなに素直なーー」
「15分経過!室温115度!」
兵部が肩をすくめて言うと、真木は耐えかねたのか強引にも叫ぶ。
「話そらした・・・パンドラってのは、こんな奴ばっかりか?」
皆本は、あきれた様子でつぶやいた。
それをきいて、ヒノミヤは、いや、頼むから、そこに俺をいれないでくれよ、と密かに懇願したのであった。
(・・・あー・・・まったく・・・やってらんねぇな・・・)
っていうか俺、こんなところで何してんだろ、とヒノミヤは思う。
一応、目の前にいるのは、エスパー史上最悪の犯罪者のはずであるが、今のヒノミヤには、それすら疑わしい。
どうみたって彼らは、しょーもないことで意地を張りあう負けず嫌いのガキだ。
(真木さんも真木さんだよなぁ。
こんなときくらい、兵部のやつを止めりゃいいのに。
自分まで意地張ってスーツ着ちゃって。どう見たって限界超えてるよありゃ。
こういうときは、腹心が上司をいさめるってのが、日本の忠義ってやつじゃねぇの?)
ヒノミヤが、あきれ顔もあらわに一同を見ていると、ふと、彼に視線を向けるものがいた。兵部だ。
「そういえばーー
きみは、そんな暑苦しそうなジャケットを着ていながら、先ほどから脱ごうともしないね。大して汗もかいていないようだ」
「本当だ。すごいな、きみ」
やっぱり、合衆国の軍人教育ってのはそれなりにすごいんだ、という言葉は兵部のいる手前のみこんで、皆本は目線だけでヒノミヤに賞賛の意を示す。
そういえば、彼はなかなかにいい体つきをしているようだし、きっとこれも、普段からの鍛錬の積み重ねによるものなのだろう。自分も見習わねば・・・と、皆本が感心していると。
「あ、いや・・・これはその、なんつーか・・・
俺、ESP無効化できるから、兵部が超能力で作り出したこの空間じゃ、効果も薄いっつーかなんつーか・・・」
気まずそうに告白したヒノミヤの言葉に、全員が一斉に表情を変えた。
「「「「な・・・っ!なんだとっ!?」」」」
一同の鋭い目が、一斉にヒノミヤに向けられる。
そういえば、彼が首から下げているリミッターが、いつの間にやらオフになっているではないか!
きっと、先刻立ち去ろうとした時のどさくさにまぎれて、ちゃっかり自分のリミッターをオフにしていたのだ。
その甲斐あって、彼には今、この空間はせいぜい「ちょっとあつめのお風呂」ぐらいにしか感じられていないのである。
「なっ・・・なにも、そんな怒ることはねぇだろ!
だいたい、俺は兵部とバベルの職員が決闘するから、その見届人として呼ばれただけだし、俺の勝敗はぶっちゃけ関係ねぇっつーか・・・」
「じゃあなにか、先ほどから君は、僕らがむせるような熱さを必死に我慢して地獄を味わっているのを、涼しい顔をしてみていたというのか!」
兵部は、怒りも露わにヒノミヤに詰め寄った。すると、背後で皆本が鋭く指摘する。
「あっ!今熱いって言ったな、兵部!僕は確かに聞いたぞ」
「今は揚げ足取りをしている場合か皆本!この男は、僕たちの真剣勝負を、ずっとあざ笑って見ていたというんだぞ」
「だれもそんなこと言ってねぇだろーが!」
とんだとばっちりに、ヒノミヤは声を荒げた。しかし、残念ながら兵部には全く聞こえなかったようだ。
「はぁ・・・。どうりで先ほどから頭痛がすると思ったら、君が原因か、ヒノミヤ」
「おうおう。ひどいぞ新入り」
ヒノミヤの背後で、あきれた声があがった。真木と桃太郎だ。
「あー・・・その点に関しては、すんません。できるだけ、二人からは離れたつもりでいたんですけど・・・」
二人の非難はもっともだったので、ヒノミヤは申し訳なさそうに頭を掻いた。
すると、兵部が突然とんでもないことを言い出した。
「とにかく、きみ!
さっさとその首からかけているリミッターをオンにしたまえ!」
「はぁっ!?イヤに決まってんだろ!」
「せっかく僕がプレゼントしたものなんだぞ!ありがたく使いたまえよ!」
「そうだぞきみ!この状況で、ひとりだけ楽な思いをしているだなんて卑怯だ!」
兵部の攻撃に、本来敵同志であるはずの皆本まで加わり、ヒノミヤは頭を抱えた。
「ってええ!?
なんだよこの二人。いつもはいがみ合ってるクセに、こんな時だけ都合よく結託しやがって・・・」
「皆本もそう言ってるじゃないか。さっさとリミッターをオンにしろ!するつもりがないなら、僕が強制的にでもオンにしてやる!」
「あーもーやってらんねぇ!」
ヒノミヤは、自分のリミッターに手をかけてきた兵部の腕を、逆に掴んだ。突然のことで、動揺する兵部。
「なっ・・・!なにをするヒノミヤ!」
「こうするんだよっ!」
ヒノミヤは、驚く兵部の目をじっと見つめた。特徴的なオッドアイの、その左目が赤く光る。
すると・・・
突然、室内の温度が一変した。
吹き出していた多量の熱気は消え失せ、室内を満たしていた100度を超える空気ですら、まるで最初からなかったかのように肌の感覚からなくなっている。
「あ、あれ?熱くなくなった・・・?」
皆本は、突然の室内の変化に、戸惑いの声を上げた。
すると、となりで兵部が、あきれた様子で解説した。
「どうやら、彼が僕のESPを強制的に無効化してしまったらしい」
「あの、ヒノミヤという男が・・・?」
皆本は、驚いた様子で、ヒノミヤを見た。
(まさか・・・。兵部ほどの男のESPですら、無効化してしまうなんて・・・)
このとき、同じ感想を抱いたものがもう一人いた。真木である。
(あの男、確かに変わった超能力の持ち主とは思っていたが、まさか、あれほどまでにやりたい放題だった少佐の力ですら無効化してしまうとは・・・)
ふたりの男の奇異の目には薄々カンづきながらも、ヒノミヤはなにも言わなかった。
確かに、戦力を隠しておくという点においてみれば、さっきのは少々やりすぎだったかもしれない。
しかし、仕方なかったのだとも思う。これ以上、こんなめんどくさいことに付き合いたくはなかったのだ。
「さて、これで勝負は終わりだろ?俺は失礼するぜ」
あきれた様子で兵部と皆本を交互に見ると、ヒノミヤは二人に背を向けて歩きだした。
・・・って、ここはいったいどこだよ!?と、カタストロフィ号から強制的につれてこられたことを今更思い出し、あわてていると。
「ヒ~ノ~ミ~ヤ~ぁ!」
背後で、地獄からはいあがってきた亡者のような声が聞こえた。
寒気を感じ、おそるおそる彼が振り返ってみると・・・
「せっかくの皆本との勝負を、よくも台無しにしてくれたな!」
「もう少しで、兵部を打ち負かせるところだったのに!」
いがみ合っていたはずの兵部と皆本が、そろって恐ろしい表情をつくり、ヒノミヤを睨んでいた。
彼らの背後には、とんでもなく黒いオーラの固まりが見える。
とたんに、これまで大して汗をかいていなかったヒノミヤの額から、多量の汗が噴出した。
いや、これは熱さ故ではない。冷や汗(・・・)だ!
「・・・って、えぇぇぇっ!」
こうして、兵部と皆本の勝負はおあずけになったのであった。
ちなみに、この後、勝負に付き合わされた真木は、熱地獄とヒノミヤの能力にあてられたことにより、三日間体調を崩したという。
先日、ついにアンリミ(THE UNLIMITED 兵部京介」)のOP「LΛST RESOLUTION」のCDが発売になりましたね!
さっそく聴いてみました。
やっぱり、カッコイイvv!
ところで、
歌詞をみてみると、
日本語版と英語版では、少し内容が異なっているようです。
作詞家さまのブログを拝見すると、
「先に日本語をつくってから、英語の歌詞を描いた」
とのことなので、
英語版は、あくまで日本語版の「意訳」ということになるようです。
(作詞家様ご自身も、英語版について「必ずしも直訳ではない」という風におっしゃっていました)
そこで、
英語版の方を、私の至極いい加減な英語知識のもとに訳してみました。
ただし・・・
そもそも、歌詞をネットにアップするのは、著作権的にアウトと思われるので
あくまで、「自分の勝手な日本語訳」のみ、ということで;
訳が正しいかどうかは、どうかみなさまの目で実際にご確認ください;
と、言うわけで。
LΛST RESOLUTION
ある歴史の(one histry)
今こそ、痛みのドアを蹴り開けよう
我が抵抗に(my resistance)
もはや絶望から逃れることなどできない
あふれ出せ(berak out)!
闇からの痛み(pain from the dark)
きみの嘲笑など、ただの偽善にすぎない
もう一度言おう
僕は、まだなお明日を見据える者であることを
そうだ、彼らが深く刻みつけたこの傷は、僕の「エンブレム」だ 【※注1】
だから、僕は燃えるような魂で、
おさえきれないこの怒りを、感じるままに解き放とう!
闇の中だけでのみ、僕は原罪を裁くことができる 【※注2】
僕は、ここで今すべての時間を止めよう
僕は、世界の命運をこの手の中に握っている 【※注3】
僕は手にすることができるし、僕らはつくることができる、新たな世界を
そう、遙か遠くへ(so far away)
(記憶の)端に追いやられた、(過去に一度)命を奪われたということを、僕は忘れることができない 【※注4】
生きる道をさがして(try to survive)
始まってしまえば、もう後戻りはできない、すすめ! 【※注5】
宿められたこの能力は、ただの「ギフト」なんだ 【※注6】
僕はもう、この道に従って進むしかない
戻ることのできない過去の出来事を、僕は越えてゆく!
【※注7】
もし僕がすべての裏切りを止めることができるなら、それは僕らの悲しみの終わりなのだろう
僕らに平和な時が訪れることをあきらめるな
僕らは、ずっと迫害に耐え続け、そして今、ようやっと自由を手に入れた
僕らはそれを、無限の夜明けへと変えた
【※注8】
(世界を)一変させて、もう一度僕らの人生に光を灯そう
僕らとともに、新しい世界を創ろう
闇の中だけでのみ、僕は原罪を裁くことができる・・・
闇の中だけでのみ、僕は原罪を裁くことができる
僕は、ここで今すべての時間を止めよう
僕は、世界の命運をこの手の中に握っている
僕は手にすることができる、僕らはつくることができる、新たな世界を
このように、
日本語版では抽象的に描かれてきた歌詞が、
英語版では、主語の「I」をともなうことにより、より「兵部」目線の歌詞になっている気がしますvv
(そうなんです、英語版の歌詞では、主語の多くに「It」ではなく「I」が用いられていて、誰かの意志で語られている雰囲気が漂っています~)
また、
特に2番以降の歌詞には、日本語とはだいぶ違う意味が入っているところもありますね。
さてさて、
おつきあいいただける方は、
下記の注釈(という名のいいわけ(え))もご覧ください;
※注1 「そうだ、彼らが深く刻みつけたこの傷は、僕の「エンブレム」だ」
英語では my scars they cut deep,「see」my "EMBLEM"となっており、断定の「is」ではなく、「~のように見える」の意味の「see」が使われてます。
例え、ってニュアンスなのかな?
ちなみに、その「傷」というのは、少佐の額の銃痕のことで、撃った主は、第二次世界大戦時の陸軍のあの方ですね。
少佐が複合能力に目覚めるきっかけを作った方ですよね~
※注2「闇の中だけでのみ、僕は原罪を裁くことができる」
only in the darkness can I judge the nature of the crime
only~以下を強調するために、倒置法が使われていますよねvv
ふつうの順番に戻すと、たぶんこう↓↓
I can judge the nature of the crime only in the darkness
only can I~には、二種類の訳し方があり、
「~でのみ、できる」という肯定的なニュアンスと、
「~でしか、できない」という否定的なニュアンスがあります。
今回は、前者で訳しましたが、
「闇の中でしか、僕は原罪を裁くことはできない」でもいいかな、とは思ったり。
これはこれで、少佐の寂しさが出てるかな、と。
※注3「僕は、世界の命運をこの手の中に握っている」
日本語版は、「すべての能力はこの手の中に」となっているのですが、
「能力」にあたる英語が、「fate of our nation」て。
「nation」て、「国家」とか「国民」とか意味ですぜ、少佐・・・
っと言うわけで、こんな訳になりました(え)
※注4「そう、遙か遠くへ(so far away)(記憶の)端に追いやられた、(過去に一度)命を奪われたということを、僕は忘れることができない」
日本語版は、「砕けた記憶の果てで」と簡単にかかれていますが、
どうやらコレ、過去に一度自分が殺されたことを言っていたらしい(たぶん・・・
ここの訳、正直あまり自信はないのですが、
「taking a life」が「殺された」というニュアンスの熟語らしい。
これも、先ほどと同じ、第二次世界大戦末期に陸軍に所属していたときに、彼が一度殺されたことを言っているのかなと。
※注5「始まってしまえば、もう後戻りはできない、すすめ!」
日本語版は「消せない深紅を散らせ」
う~ん、このあたりから、日本語と英語にひらきが出てきてる気がします。
※注6「宿められたこの能力は、ただの「ギフト」なんだ」
ここでは、日本語版を参考に、「life」を「能力」と訳しました。
ていうかこの英語版、「life」が結構出てくるけど、正直訳に悩む・・・
ちなみに、これは絶チル本編に出てきた、
「英語では生まれもった才能のことを「gift」というから、超能力も「ギフト」だと思っている」
という、少佐の発言に由来する歌詞ですよねvv
※注7
「もし僕がすべての裏切りを止めることができるなら、それは僕らの悲しみの終わりなのだろう
僕らに平和な時が訪れることをあきらめるな
僕らは、ずっと迫害に耐え続け、そして今、ようやっと自由を手に入れた
僕らはそれを、無限の夜明けへと変えた」
これは、2番のサビなのですが、
日本語版では、
「裏切りの歴史が滅びるころ、同胞よ静かに眠れ
閉ざされた自由はもういらない
無限の明日に刻み込む」
英語の方が、なんだか少佐の悲痛な願いを語っているように思いませんか??
※注8「(世界を)一変させて、もう一度僕らの人生(lives)に光を灯そう
僕とともに、新しい世界を創ろう」
これも、日本語版では、
「奪われた世界へと、光を取り戻せ」
英語版、「ともに新しい世界を創ろう」とか言っちゃってるしvv
これは、クイーンに対する言葉なのかな?
ここは私的に、英語版の歌詞推しです!
と、いうわけで、
歌詞の意味を考えながら聴いてみると、
より歌が楽しめますぜvv
さっそく聴いてみました。
やっぱり、カッコイイvv!
ところで、
歌詞をみてみると、
日本語版と英語版では、少し内容が異なっているようです。
作詞家さまのブログを拝見すると、
「先に日本語をつくってから、英語の歌詞を描いた」
とのことなので、
英語版は、あくまで日本語版の「意訳」ということになるようです。
(作詞家様ご自身も、英語版について「必ずしも直訳ではない」という風におっしゃっていました)
そこで、
英語版の方を、私の至極いい加減な英語知識のもとに訳してみました。
ただし・・・
そもそも、歌詞をネットにアップするのは、著作権的にアウトと思われるので
あくまで、「自分の勝手な日本語訳」のみ、ということで;
訳が正しいかどうかは、どうかみなさまの目で実際にご確認ください;
と、言うわけで。
LΛST RESOLUTION
ある歴史の(one histry)
今こそ、痛みのドアを蹴り開けよう
我が抵抗に(my resistance)
もはや絶望から逃れることなどできない
あふれ出せ(berak out)!
闇からの痛み(pain from the dark)
きみの嘲笑など、ただの偽善にすぎない
もう一度言おう
僕は、まだなお明日を見据える者であることを
そうだ、彼らが深く刻みつけたこの傷は、僕の「エンブレム」だ 【※注1】
だから、僕は燃えるような魂で、
おさえきれないこの怒りを、感じるままに解き放とう!
闇の中だけでのみ、僕は原罪を裁くことができる 【※注2】
僕は、ここで今すべての時間を止めよう
僕は、世界の命運をこの手の中に握っている 【※注3】
僕は手にすることができるし、僕らはつくることができる、新たな世界を
そう、遙か遠くへ(so far away)
(記憶の)端に追いやられた、(過去に一度)命を奪われたということを、僕は忘れることができない 【※注4】
生きる道をさがして(try to survive)
始まってしまえば、もう後戻りはできない、すすめ! 【※注5】
宿められたこの能力は、ただの「ギフト」なんだ 【※注6】
僕はもう、この道に従って進むしかない
戻ることのできない過去の出来事を、僕は越えてゆく!
【※注7】
もし僕がすべての裏切りを止めることができるなら、それは僕らの悲しみの終わりなのだろう
僕らに平和な時が訪れることをあきらめるな
僕らは、ずっと迫害に耐え続け、そして今、ようやっと自由を手に入れた
僕らはそれを、無限の夜明けへと変えた
【※注8】
(世界を)一変させて、もう一度僕らの人生に光を灯そう
僕らとともに、新しい世界を創ろう
闇の中だけでのみ、僕は原罪を裁くことができる・・・
闇の中だけでのみ、僕は原罪を裁くことができる
僕は、ここで今すべての時間を止めよう
僕は、世界の命運をこの手の中に握っている
僕は手にすることができる、僕らはつくることができる、新たな世界を
このように、
日本語版では抽象的に描かれてきた歌詞が、
英語版では、主語の「I」をともなうことにより、より「兵部」目線の歌詞になっている気がしますvv
(そうなんです、英語版の歌詞では、主語の多くに「It」ではなく「I」が用いられていて、誰かの意志で語られている雰囲気が漂っています~)
また、
特に2番以降の歌詞には、日本語とはだいぶ違う意味が入っているところもありますね。
さてさて、
おつきあいいただける方は、
下記の注釈(という名のいいわけ(え))もご覧ください;
※注1 「そうだ、彼らが深く刻みつけたこの傷は、僕の「エンブレム」だ」
英語では my scars they cut deep,「see」my "EMBLEM"となっており、断定の「is」ではなく、「~のように見える」の意味の「see」が使われてます。
例え、ってニュアンスなのかな?
ちなみに、その「傷」というのは、少佐の額の銃痕のことで、撃った主は、第二次世界大戦時の陸軍のあの方ですね。
少佐が複合能力に目覚めるきっかけを作った方ですよね~
※注2「闇の中だけでのみ、僕は原罪を裁くことができる」
only in the darkness can I judge the nature of the crime
only~以下を強調するために、倒置法が使われていますよねvv
ふつうの順番に戻すと、たぶんこう↓↓
I can judge the nature of the crime only in the darkness
only can I~には、二種類の訳し方があり、
「~でのみ、できる」という肯定的なニュアンスと、
「~でしか、できない」という否定的なニュアンスがあります。
今回は、前者で訳しましたが、
「闇の中でしか、僕は原罪を裁くことはできない」でもいいかな、とは思ったり。
これはこれで、少佐の寂しさが出てるかな、と。
※注3「僕は、世界の命運をこの手の中に握っている」
日本語版は、「すべての能力はこの手の中に」となっているのですが、
「能力」にあたる英語が、「fate of our nation」て。
「nation」て、「国家」とか「国民」とか意味ですぜ、少佐・・・
っと言うわけで、こんな訳になりました(え)
※注4「そう、遙か遠くへ(so far away)(記憶の)端に追いやられた、(過去に一度)命を奪われたということを、僕は忘れることができない」
日本語版は、「砕けた記憶の果てで」と簡単にかかれていますが、
どうやらコレ、過去に一度自分が殺されたことを言っていたらしい(たぶん・・・
ここの訳、正直あまり自信はないのですが、
「taking a life」が「殺された」というニュアンスの熟語らしい。
これも、先ほどと同じ、第二次世界大戦末期に陸軍に所属していたときに、彼が一度殺されたことを言っているのかなと。
※注5「始まってしまえば、もう後戻りはできない、すすめ!」
日本語版は「消せない深紅を散らせ」
う~ん、このあたりから、日本語と英語にひらきが出てきてる気がします。
※注6「宿められたこの能力は、ただの「ギフト」なんだ」
ここでは、日本語版を参考に、「life」を「能力」と訳しました。
ていうかこの英語版、「life」が結構出てくるけど、正直訳に悩む・・・
ちなみに、これは絶チル本編に出てきた、
「英語では生まれもった才能のことを「gift」というから、超能力も「ギフト」だと思っている」
という、少佐の発言に由来する歌詞ですよねvv
※注7
「もし僕がすべての裏切りを止めることができるなら、それは僕らの悲しみの終わりなのだろう
僕らに平和な時が訪れることをあきらめるな
僕らは、ずっと迫害に耐え続け、そして今、ようやっと自由を手に入れた
僕らはそれを、無限の夜明けへと変えた」
これは、2番のサビなのですが、
日本語版では、
「裏切りの歴史が滅びるころ、同胞よ静かに眠れ
閉ざされた自由はもういらない
無限の明日に刻み込む」
英語の方が、なんだか少佐の悲痛な願いを語っているように思いませんか??
※注8「(世界を)一変させて、もう一度僕らの人生(lives)に光を灯そう
僕とともに、新しい世界を創ろう」
これも、日本語版では、
「奪われた世界へと、光を取り戻せ」
英語版、「ともに新しい世界を創ろう」とか言っちゃってるしvv
これは、クイーンに対する言葉なのかな?
ここは私的に、英語版の歌詞推しです!
と、いうわけで、
歌詞の意味を考えながら聴いてみると、
より歌が楽しめますぜvv
アンリミこと、「THE UNLIMITED 兵部京介」
第三話「清楚と汚濁」みました!
モナーク王国の王女をパンドラが誘拐するも、その真相は・・・というお話。
本編から、バベルの皆本さんと賢木さんも登場し、どっちかというと本編に近い雰囲気だったのかな、という気が。
(個人的に、もうちょっとハードボイルドっぽくてもよかったかな~と思いながら)
ユウギリちゃんお当番の回でしたが、それなりにアンディさんの出番もあって安心♪
王女を庇ってとっさに飛び出すアンディさん。素敵でした!
銃弾は、彼の肩に当たって・・・
いや、アンディさん、血ぃ出てるよ!けっこう飛び散りましたよね今!!
それ、単なる演出!?ふつうそこまで血は飛び散らないよね!?
でも、そのまま肩をおさえつつ、銃口を突きつけられた王女の前に・・・みたいなところまでは、させてもらえないんですね(え)
まぁ、ユウギリちゃんお当番の回だから仕方ないか。
いやいや、でも私的には、今回の一番の功労者はアンディさんですよ(笑)
王女さま、もっとそっちにも感謝してあげて!
少佐は「ああ、ごくろう」ってだけで、野郎の扱いは雑だから!
(いや、そこがまたアンディさんのかわいさを増加させるわけですが(え))
そして、王女様に感謝されて顔を真っ赤にするアンディさんの図が見たい(え)
まぁ、彼の功績はむしろ、本来の職場でいずれ讃えられることでしょう。
「エスパー犯罪組織」が王女の命を守ったっていうより、
「そこにたまたま潜入していた捜査官が、捜査の途中で身を投げ出して王女を助けた」って方が、いろいろ都合がいいでしょうからな。
しかし・・・アンディさんは、こんなに少佐と一緒にいていいんでしょうか(苦笑)
二人で仲良くお留守番とか(そしてなぜか筋トレしてるし。暇なのかアンディさん)
「君もこっちに来たかったかい?」って冗談で誘われるとか、
他のパンドラのメンバーは、複雑な心境にならないんだろうか。
リミッターもお揃いだし(え)
さいごはとうとう、
第二話で真木さんといっしょだったパティのバーにまで来てるし。
真木さんは、ジェラシー(死語?)を感じないんだろうか。
(少なくとも、パティはいろいろ妄想してると思う)
めっちゃ馴染んでるよ、アンディさん・・・
適応力すごいな~
そして、少佐のラストのセリフ
「僕が心を捧げているのは、プリンセス(ソフィー王女)ではなく、クイーン(破滅の女王)さ」
これは、「破滅の女王」ことザ・チルドレンの明石薫ちゃんですね。
そして、4話につづく・・・ということで。
(ていうか、ノー勉強で一話を観たときには、クイーンを船のことだと思ってた・・・(え))
と、いうわけで。
今回も、かわいすぎる孫(アンディさん)をいぢめるじいさま(少佐)に乾杯(笑)
第三話「清楚と汚濁」みました!
モナーク王国の王女をパンドラが誘拐するも、その真相は・・・というお話。
本編から、バベルの皆本さんと賢木さんも登場し、どっちかというと本編に近い雰囲気だったのかな、という気が。
(個人的に、もうちょっとハードボイルドっぽくてもよかったかな~と思いながら)
ユウギリちゃんお当番の回でしたが、それなりにアンディさんの出番もあって安心♪
王女を庇ってとっさに飛び出すアンディさん。素敵でした!
銃弾は、彼の肩に当たって・・・
いや、アンディさん、血ぃ出てるよ!けっこう飛び散りましたよね今!!
それ、単なる演出!?ふつうそこまで血は飛び散らないよね!?
でも、そのまま肩をおさえつつ、銃口を突きつけられた王女の前に・・・みたいなところまでは、させてもらえないんですね(え)
まぁ、ユウギリちゃんお当番の回だから仕方ないか。
いやいや、でも私的には、今回の一番の功労者はアンディさんですよ(笑)
王女さま、もっとそっちにも感謝してあげて!
少佐は「ああ、ごくろう」ってだけで、野郎の扱いは雑だから!
(いや、そこがまたアンディさんのかわいさを増加させるわけですが(え))
そして、王女様に感謝されて顔を真っ赤にするアンディさんの図が見たい(え)
まぁ、彼の功績はむしろ、本来の職場でいずれ讃えられることでしょう。
「エスパー犯罪組織」が王女の命を守ったっていうより、
「そこにたまたま潜入していた捜査官が、捜査の途中で身を投げ出して王女を助けた」って方が、いろいろ都合がいいでしょうからな。
しかし・・・アンディさんは、こんなに少佐と一緒にいていいんでしょうか(苦笑)
二人で仲良くお留守番とか(そしてなぜか筋トレしてるし。暇なのかアンディさん)
「君もこっちに来たかったかい?」って冗談で誘われるとか、
他のパンドラのメンバーは、複雑な心境にならないんだろうか。
リミッターもお揃いだし(え)
さいごはとうとう、
第二話で真木さんといっしょだったパティのバーにまで来てるし。
真木さんは、ジェラシー(死語?)を感じないんだろうか。
(少なくとも、パティはいろいろ妄想してると思う)
めっちゃ馴染んでるよ、アンディさん・・・
適応力すごいな~
そして、少佐のラストのセリフ
「僕が心を捧げているのは、プリンセス(ソフィー王女)ではなく、クイーン(破滅の女王)さ」
これは、「破滅の女王」ことザ・チルドレンの明石薫ちゃんですね。
そして、4話につづく・・・ということで。
(ていうか、ノー勉強で一話を観たときには、クイーンを船のことだと思ってた・・・(え))
と、いうわけで。
今回も、かわいすぎる孫(アンディさん)をいぢめるじいさま(少佐)に乾杯(笑)
やばい。
ハマってしまいそうです、アンリミ、こと『THE UNLIMITED 兵部京介』。
ええ、先日感想を書いたばかりの、絶対可憐チルドレンのスピンオフです。
オリキャラであるアンディ・ヒノミヤ役で諏訪部さんがご出演アニメですよ♪
だって、アンディさん、カッコいいんですもん!
兵部さんも素敵だし。
つい、絶チルの1巻と10巻を買ってしまいましたvv
と、いうわけで。
さっそくアンリミのSSを書いてしまいました(え)
※これは、アニメの「幸せな」ラストを、私個人が勝手に妄想してみたものです。
※書いている時点では、まだ第一話しか放送していない上に、私自身が絶チルをほぼ未読なので、まったく手探りの状態で書いています。
と、いうわけで、以下、
「それでもいいよ!」という心優しい方は、どうぞお付き合いくださいませ。
*************************
遠くで、煙が立ち上るのが見えた。
カタストロフィ号のデッキでそれを見つめながら、アンディ・ヒノミヤは、険しい表情を作っていた。
それは、数ヶ月前、USEI捜査官アンディ・ヒノミヤがここに来たときから、すでに予告されていたもの。
ーーつまり、帰還命令だ。
本来であれば、煙が立ち上った時点で、ヒノミヤはすぐにここを去るべきであった。
実際、この数ヶ月間、その方法については何度も確認してきたし、今だって逃げようと思えば可能だ。
しかし、可能にもかかわらず、ヒノミヤはまったく足が動かなかった。
彼は、躊躇してしまっていたのだ。このまま帰ってしまってよいのか、と・・・。
帰れば、自分は彼らーーP.A.N.D.R.Aのことを、彼らと共に過ごしたこの数ヶ月の日々のことを、報告しなければならない。
それは、彼らにとって、必ずしも好ましいことではないだろう。
この数ヶ月で、ヒノミヤの彼らに対する印象は大きく変わった。
ヒノミヤの見た彼らは、決して単なる「エスパー犯罪組織」ではなかった。
彼らは、ある種の信念をもち、彼らの正義のもとに行動していた。
単なる厄介な犯罪者集団ではなかったのだ。
だからーー。
数ヶ月前には全く躊躇しなかったことが、今では、とても後ろめたく思ってしまう。
自分はスパイ失格だ。捜査対象に、こんなにも肩入れしてしまうだなんて!
ヒノミヤが、自分の中で葛藤に打ちひしがれていると。
「ーー行けよ」
「えっ・・・?」
ふと隣を見ると、いつの間にか兵部が立っていた。
いつからそこに立っていたのだろうか。まったく油断も隙もあったものではない。
「あっちで、お仲間がきみを呼んでいるぞ」
「なっ・・・!」
「きみ、スパイなんだろ。
知ってるよ、そんなことくらい。僕を誰だと思っているんだい?
僕は、兵部京介なんだよ」
兵部の確信に満ちた顔に、ヒノミヤは少し表情を緩める。
「・・・そうだったな」
やはり、最初からこの男は気づいていたのだ。
自分が彼に近づいてきた真の理由を。知っていて、この数ヶ月間、彼はずっと自分を泳がし続けていたのだ。
うすうす気づいてはいたものの、正面切ってそういわれると、さすがのヒノミヤも拍子抜けしてしまう。
だがその一方で、スパイにも関わらず最初から正体がバレていたというのに、なぜだか全く罪悪感がわかない。
この男の前では、どんな自分の愚考も笑って許してしまいそうになるから不思議だ。
ヒノミヤがそんなことを考えていると、兵部がふと、これまでのことを思い出すような口調で話しかけてきた。
「この数ヶ月間、僕はとても楽しかったよ。久しぶりに、骨のある奴にめぐり会えた気分だ。
それにきみは、なかなかにいたぶり甲斐のある男だったしね」
「なんだとっ!」
「ああ、そうやってムキになるところは、少しも変わらないねぇ、出会ったばかりの頃と」
「むっ・・・」
「この数ヶ月で、きみは随分成長したように感じたのだけれど、それは僕の勘違いだったかな?」
「言ってろ!」
ムッとしてヒノミヤがそっぽむくと、兵部はふと大人びた表情になって言った。
「きみは、ありのままを報告すればいい。
ここで起こったことも、きみの目で見たものも、すべて見たままに言えばいいんだ。
僕は、決して止めはしない。それはきみに与えられた役割なんだし、たとえそれが僕らにとって不利な情報であったとしても、それを妨げる権利は僕にはないよ」
「しょっ・・・少佐!」
「いくらなんでも、そんな虫のいいこと言って・・・っ!」
兵部の意外な言葉に、背後で様子をうかがっていたP.A.N.D.R.Aのメンバーが驚く。
しかし、彼らの忠告など全く耳を傾ける様子はなく、兵部はヒノミヤに笑いかけた。
その表情に、戸惑いを浮かべていたヒノミヤも、思わずほほえみ返す。
なんだか、胸のつかえがとれたような気がして、これから自分がやるべき事がみえた気がしたのだ。
「・・・ありがとう、兵部。
じゃあ、おまえの言うとおり、俺は、俺の見たままを報告することにするよ。それは、必ずしもお前にとって都合のいい情報ばかりじゃないだろうけど、いいよな?」
「ああ、男に二言はない」
兵部は強く頷いた。そして、ふと思い出したような表情になって、付け加える。
「それに・・・
“兵部”じゃない。“京介”だろ?」
言ったろ?といわんばかりの表情に、ヒノミヤは驚いて思わず兵部の顔を見る。
しかし、確信めいた兵部の表情に、静かに頷いた。
「・・・ああ、“京介”!」
「なっ・・・!」
思わぬ呼称に、P.A.N.D.R.Aのメンバーは驚く。
何しろ、長年付き添ってきた自分たちですら、兵部のことを“京介”と呼んだことはないのだ。それを、こんな数ヶ月前に出会ったばかりの男に許すとは!
しかし、P.A.N.D.R.Aのメンバーの視線などどこ吹く風で、兵部は受け流した。
そして、ヒノミヤに向かって手を差し出す。
「しっかり報告しろよーー捜査官アンディ・ヒノミヤ」
差し出された手を、ヒノミヤは強く握り返した。
「・・・ああ!」
「帰りたくなったら、いつでも来い。歓迎してやる。
きみはもう、僕たちP.A.N.D.R.Aの一員なんだからな」
「じゃあーー」
ヒノミヤは、ふとジャケットのポケットから、ストラップを取り出した。
それは、初めて出会ったときに、兵部が冗談半分で差しだした自分のストラップだった。
「そのときまで、これを預かっていてくれないか?」
「これは・・・」
思わぬものが出てきたと言わんばかりに、兵部は目を丸くした。渡したことすら、ほとんど忘れていたのだろう。
すると、ヒノミヤは茶化したような口調になって言った。
「“今なら入会金無料”。これは、入会記念の品なんだろ?」
「・・・そうだったな。
よし、これは、きみの部屋に置いといてやる。
だから、きみも必ず取りに来いよ」
兵部の言葉に、ヒノミヤは強く頷いた。
「ああ、もちろんだとも!」
こうして、ヒノミヤはカタストロフィ号を去っていった。
彼が去った後も、しばらく兵部は船のデッキから離れようとはしなかった。
ただ黙ってじっと海を見つめながら、物思いに耽っている様子である。
珍しく考え事を続ける少佐に、P.A.N.D.R.Aのメンバーは意外そうな表情を向けた。
そしてやがて、兵部の心を察するようにして、真木が声をかけた。
「ーーいいんですか、少佐。あいつをあっさり帰しちまって?」
すると、海を見つめたまま、兵部は答えた。
「いいんだよ。大丈夫、あいつは、僕たちにとって不利なことは言わないさ」
「随分と信用しているんですね、あの男のことを」
「もちろんだとも。
・・・なにしろ彼は、僕がこのクイーンに乗せてもいいと選んだ、数少ない男なんだからな」
「あ・・・」
「真木、きみも、わかってるんだろ?
彼は、良くも悪くも公明正大な男だ。ノーマルなんぞに雇われてはいるが、決して、ノーマルやエスパーなんてものにこだわってはいない。
・・・ある意味、僕も見習うべきなのかもしれないな」
「少佐・・・」
「彼にとって、なにが正義でなにが悪なのか。それは、彼に判断させればいい。その上で、向こうもどう対応するか考えるだろうからさ」
そのときの兵部の声には、その言葉とは別に、心なしか、すねた子供のような色が混じっていた。
まるでおもちゃを奪われた子供のような口調に、真木は彼の心中を察する。
ーーつまりは、兵部は寂しいのだ、と。
あんなにかっこよく送り出した割には、兵部は、苦渋の思いでヒノミヤを手放していたのだろう。
そういうところは、まだまだ子供なのだな、と真木は思った。
御歳80歳を越そうとも、そういうところだけは、彼はまだまだ見た目通りなのだ。
だからこそ、自分たちがしっかり彼をサポートしていかねばならない、と真木は思う。
だから彼は、このとき兵部に向かって、こう言った。
「しかし、どうしてくれるんですか、少佐」
突然、真木から叱責の声を上げられ、兵部は身に覚えがないと言わんばかりに真木を見た。
「急になんだ真木?藪から棒に」
「あんな男をあっさりと帰しちまって、P.A.N.D.R.Aは大損害ですよ」
「へっ?」
目を丸くする、兵部。
「おい真木・・・まさかお前、あいつが本気で僕らの害になるとでも、思っているのかい?」
「ええ、そうですとも。
・・・彼を失って、我々P.A.N.D.R.Aは大損害です。せっかく、少佐にお誂え向きの、いい暇つぶしの道具ができたっていうのに」
真木の言葉に、兵部は思わず拍子抜けしたような表情になり、目を瞬いた。
しかし、真木の言葉の意味するところを悟るや、すぐに大声を上げて笑いだした。
「あはははっ!
そりゃ確かにそうだ!僕はどうやら、とんでもないものをうっかり手放してしまったらしい!」
兵部の開き直ったような明るい笑い声に、P.A.N.D.R.Aのメンバーも表情を緩める。
「本当に残念ですね。少佐、彼のこと結構気に入っていたんでしょう?」
「私は、本気で少佐が、彼をP.A.N.D.R.Aに引き入れると思っていましたよ。
ほしいものには何でも、子供並の執着心で手に入れる少佐が、彼をあっさり返したときは、拍子抜けしてしまいました。
てっきり、彼のことも強引にP.A.N.D.R.Aに引き込むのかと思って」
「ええ、俺たちにそうしたようにね」
すると、兵部は「わかっていないなぁ」と言って、人差し指を横に振った。
「彼は、もうすでに僕たちP.A.N.D.R.Aの一員さ。
だが、彼には彼でやらなければならない仕事がある。だから僕は、彼をP.A.N.D.R.Aの捜査員として(・・・・・・・・・)、あの組織に派遣したんだよ?」
「またそんなこと言って。いい歳して、負け惜しみはみっともないですよ、少佐」
「負け惜しみなんかじゃないさ。
ただ、彼は彼のすべき仕事を全うする。僕は、それをみてみたくなっただけだよ」
そう言うと兵部は、ヒノミヤの去っていった方角の海を仰ぎみた。
(さて、きみはこの数ヶ月の出来事を、どういう風に報告するをだろうね。
僕は、それが知りたいんだ。
きみが、思ったことを。感じたありのままのことを。
それは、僕にとって、とても大切な気がするからーー)
所属するUSEIの船に乗船すると、ヒノミヤは息つく間もなく、すぐに上司の部屋に呼ばれた。
それだけ自分は、重要な情報を持ち帰ってきたと認識されているのだろう。
部屋へと続く長い廊下を歩きながら、ヒノミヤはぼんやりとそんなことを考えていた。
正直、まだ報告できるほどに頭の中は整理できていない。この数ヶ月間では、それだけいろいろなことがありすぎたのだ。
しかし、それにもかかわらず、ヒノミヤは上司のいる部屋のドアをノックすることに躊躇しなかった。
なにより、今感じていることを、そのまま上司に報告したかったのだ。
彼が見てきたままのことを。何の先入観のない、このまっさらな気持ちのままのうちに。
ーーきみは、ありのままを報告すればいい。
ここで起こったことも、きみの目から見たすべてのものを、見たままに言えばいいんだ。
そのときふと、先刻の兵部の言葉が頭の中で聞こえてきた。
(ーーそうだ、俺には、ありのままを報告する義務がある。
この数ヶ月間みてきたそのままのことを、包み隠さずにーー)
気を引き締めると、ヒノミヤは、上司のいるであろう部屋のドドアを、強くノックした。
「失礼いたします。アンディ・ヒノミヤ、ただいま任務を終え、帰還いたしました」
「入れ」
部屋の中からすぐさま上官の返事が帰ってきた。
どうやら待ちわびていたらしい。入るなり、正面の机で肘を突いた上官の鋭い視線が、ヒノミヤを捉えてきた。
「ご苦労だった、捜査官アンディ・ヒノミヤ。
早速だが、報告してもらおうか。君が潜入を果たしたエスパー犯罪組織、P.A.N.D.R.Aについて」
一礼していたヒノミヤは、上官アランの声に答えるようにして、ゆっくりと顔を上げた。
ヒノミヤの決意に満ちた目が、そこにある。
いつもと違うその表情に気づいて、上官のアランは「おや?」と思った。
この優秀な部下を持って数年。
今までに、彼のこんなに凛とした姿を見たことがあっただろうか?
今回の潜入捜査では、どうやら彼自身(・・)についても、収穫があったらしい。
アランは内心で微笑むと、報告に来た部下に好奇に満ちた目を向けた。
そして、密かに誓う。
これから彼が報告することには、一言一句漏らさず耳を傾けようと。
きっと、収穫に満ちた報告が待っているのだろうから、と・・・。
「はい。それでは、今回私が潜入捜査をした、エスパー集団P.A.N.D.R.Aという組織について、報告いたしますーー」
ーーENDーー
*********************
と、いうわけで、アンリミの勝手な最終回の妄想でした。
おつきあいくださいました方、ありがとうございました!
何だかいろいろ秘密がありそうなアンディさんについては、最後までいい人設定のままがいいな~っということで。
そして、少佐との素敵な友情(?)を得つつ帰っていくのがいいな~・・・っということで。
このアニメは、おそらく「アンディさんから見た兵部さん」が一つのテーマでしょうし、
「兵部さんと接することで、アンディさんがエスパーやノーマルについて考えさせられる」という展開が予想されますので、
その一つの答えとして、こういうラストも全くナシではないかな、と。
っていうか、こういうラストでの男の友情って、さわやかで好きだ!(え)
兵部さんとアンディさんには、ぜひ、素敵な友情をはぐくんでいただきたいものです(ナニ)
以上、アニメから絶チルに入った初心者による、勝手な妄想でした(汗)
…あ、ちなみに。
別れ際にアンディさんが「預かっておいてくれ」と言って少佐に渡したのが何故アレなのか(笑)という点は…。
単に、現在放送済みの第一話で、他に兵部さんがアンディさんに渡してる「それらしいもの」が、それしかなかったからです(え)
(いや、実際にはそれも渡してるかは不明なんですが)
シリアスなシーンに何故アレ?(笑)という理由は、単にそれだけですんで。
ハマってしまいそうです、アンリミ、こと『THE UNLIMITED 兵部京介』。
ええ、先日感想を書いたばかりの、絶対可憐チルドレンのスピンオフです。
オリキャラであるアンディ・ヒノミヤ役で諏訪部さんがご出演アニメですよ♪
だって、アンディさん、カッコいいんですもん!
兵部さんも素敵だし。
つい、絶チルの1巻と10巻を買ってしまいましたvv
と、いうわけで。
さっそくアンリミのSSを書いてしまいました(え)
※これは、アニメの「幸せな」ラストを、私個人が勝手に妄想してみたものです。
※書いている時点では、まだ第一話しか放送していない上に、私自身が絶チルをほぼ未読なので、まったく手探りの状態で書いています。
と、いうわけで、以下、
「それでもいいよ!」という心優しい方は、どうぞお付き合いくださいませ。
*************************
遠くで、煙が立ち上るのが見えた。
カタストロフィ号のデッキでそれを見つめながら、アンディ・ヒノミヤは、険しい表情を作っていた。
それは、数ヶ月前、USEI捜査官アンディ・ヒノミヤがここに来たときから、すでに予告されていたもの。
ーーつまり、帰還命令だ。
本来であれば、煙が立ち上った時点で、ヒノミヤはすぐにここを去るべきであった。
実際、この数ヶ月間、その方法については何度も確認してきたし、今だって逃げようと思えば可能だ。
しかし、可能にもかかわらず、ヒノミヤはまったく足が動かなかった。
彼は、躊躇してしまっていたのだ。このまま帰ってしまってよいのか、と・・・。
帰れば、自分は彼らーーP.A.N.D.R.Aのことを、彼らと共に過ごしたこの数ヶ月の日々のことを、報告しなければならない。
それは、彼らにとって、必ずしも好ましいことではないだろう。
この数ヶ月で、ヒノミヤの彼らに対する印象は大きく変わった。
ヒノミヤの見た彼らは、決して単なる「エスパー犯罪組織」ではなかった。
彼らは、ある種の信念をもち、彼らの正義のもとに行動していた。
単なる厄介な犯罪者集団ではなかったのだ。
だからーー。
数ヶ月前には全く躊躇しなかったことが、今では、とても後ろめたく思ってしまう。
自分はスパイ失格だ。捜査対象に、こんなにも肩入れしてしまうだなんて!
ヒノミヤが、自分の中で葛藤に打ちひしがれていると。
「ーー行けよ」
「えっ・・・?」
ふと隣を見ると、いつの間にか兵部が立っていた。
いつからそこに立っていたのだろうか。まったく油断も隙もあったものではない。
「あっちで、お仲間がきみを呼んでいるぞ」
「なっ・・・!」
「きみ、スパイなんだろ。
知ってるよ、そんなことくらい。僕を誰だと思っているんだい?
僕は、兵部京介なんだよ」
兵部の確信に満ちた顔に、ヒノミヤは少し表情を緩める。
「・・・そうだったな」
やはり、最初からこの男は気づいていたのだ。
自分が彼に近づいてきた真の理由を。知っていて、この数ヶ月間、彼はずっと自分を泳がし続けていたのだ。
うすうす気づいてはいたものの、正面切ってそういわれると、さすがのヒノミヤも拍子抜けしてしまう。
だがその一方で、スパイにも関わらず最初から正体がバレていたというのに、なぜだか全く罪悪感がわかない。
この男の前では、どんな自分の愚考も笑って許してしまいそうになるから不思議だ。
ヒノミヤがそんなことを考えていると、兵部がふと、これまでのことを思い出すような口調で話しかけてきた。
「この数ヶ月間、僕はとても楽しかったよ。久しぶりに、骨のある奴にめぐり会えた気分だ。
それにきみは、なかなかにいたぶり甲斐のある男だったしね」
「なんだとっ!」
「ああ、そうやってムキになるところは、少しも変わらないねぇ、出会ったばかりの頃と」
「むっ・・・」
「この数ヶ月で、きみは随分成長したように感じたのだけれど、それは僕の勘違いだったかな?」
「言ってろ!」
ムッとしてヒノミヤがそっぽむくと、兵部はふと大人びた表情になって言った。
「きみは、ありのままを報告すればいい。
ここで起こったことも、きみの目で見たものも、すべて見たままに言えばいいんだ。
僕は、決して止めはしない。それはきみに与えられた役割なんだし、たとえそれが僕らにとって不利な情報であったとしても、それを妨げる権利は僕にはないよ」
「しょっ・・・少佐!」
「いくらなんでも、そんな虫のいいこと言って・・・っ!」
兵部の意外な言葉に、背後で様子をうかがっていたP.A.N.D.R.Aのメンバーが驚く。
しかし、彼らの忠告など全く耳を傾ける様子はなく、兵部はヒノミヤに笑いかけた。
その表情に、戸惑いを浮かべていたヒノミヤも、思わずほほえみ返す。
なんだか、胸のつかえがとれたような気がして、これから自分がやるべき事がみえた気がしたのだ。
「・・・ありがとう、兵部。
じゃあ、おまえの言うとおり、俺は、俺の見たままを報告することにするよ。それは、必ずしもお前にとって都合のいい情報ばかりじゃないだろうけど、いいよな?」
「ああ、男に二言はない」
兵部は強く頷いた。そして、ふと思い出したような表情になって、付け加える。
「それに・・・
“兵部”じゃない。“京介”だろ?」
言ったろ?といわんばかりの表情に、ヒノミヤは驚いて思わず兵部の顔を見る。
しかし、確信めいた兵部の表情に、静かに頷いた。
「・・・ああ、“京介”!」
「なっ・・・!」
思わぬ呼称に、P.A.N.D.R.Aのメンバーは驚く。
何しろ、長年付き添ってきた自分たちですら、兵部のことを“京介”と呼んだことはないのだ。それを、こんな数ヶ月前に出会ったばかりの男に許すとは!
しかし、P.A.N.D.R.Aのメンバーの視線などどこ吹く風で、兵部は受け流した。
そして、ヒノミヤに向かって手を差し出す。
「しっかり報告しろよーー捜査官アンディ・ヒノミヤ」
差し出された手を、ヒノミヤは強く握り返した。
「・・・ああ!」
「帰りたくなったら、いつでも来い。歓迎してやる。
きみはもう、僕たちP.A.N.D.R.Aの一員なんだからな」
「じゃあーー」
ヒノミヤは、ふとジャケットのポケットから、ストラップを取り出した。
それは、初めて出会ったときに、兵部が冗談半分で差しだした自分のストラップだった。
「そのときまで、これを預かっていてくれないか?」
「これは・・・」
思わぬものが出てきたと言わんばかりに、兵部は目を丸くした。渡したことすら、ほとんど忘れていたのだろう。
すると、ヒノミヤは茶化したような口調になって言った。
「“今なら入会金無料”。これは、入会記念の品なんだろ?」
「・・・そうだったな。
よし、これは、きみの部屋に置いといてやる。
だから、きみも必ず取りに来いよ」
兵部の言葉に、ヒノミヤは強く頷いた。
「ああ、もちろんだとも!」
こうして、ヒノミヤはカタストロフィ号を去っていった。
彼が去った後も、しばらく兵部は船のデッキから離れようとはしなかった。
ただ黙ってじっと海を見つめながら、物思いに耽っている様子である。
珍しく考え事を続ける少佐に、P.A.N.D.R.Aのメンバーは意外そうな表情を向けた。
そしてやがて、兵部の心を察するようにして、真木が声をかけた。
「ーーいいんですか、少佐。あいつをあっさり帰しちまって?」
すると、海を見つめたまま、兵部は答えた。
「いいんだよ。大丈夫、あいつは、僕たちにとって不利なことは言わないさ」
「随分と信用しているんですね、あの男のことを」
「もちろんだとも。
・・・なにしろ彼は、僕がこのクイーンに乗せてもいいと選んだ、数少ない男なんだからな」
「あ・・・」
「真木、きみも、わかってるんだろ?
彼は、良くも悪くも公明正大な男だ。ノーマルなんぞに雇われてはいるが、決して、ノーマルやエスパーなんてものにこだわってはいない。
・・・ある意味、僕も見習うべきなのかもしれないな」
「少佐・・・」
「彼にとって、なにが正義でなにが悪なのか。それは、彼に判断させればいい。その上で、向こうもどう対応するか考えるだろうからさ」
そのときの兵部の声には、その言葉とは別に、心なしか、すねた子供のような色が混じっていた。
まるでおもちゃを奪われた子供のような口調に、真木は彼の心中を察する。
ーーつまりは、兵部は寂しいのだ、と。
あんなにかっこよく送り出した割には、兵部は、苦渋の思いでヒノミヤを手放していたのだろう。
そういうところは、まだまだ子供なのだな、と真木は思った。
御歳80歳を越そうとも、そういうところだけは、彼はまだまだ見た目通りなのだ。
だからこそ、自分たちがしっかり彼をサポートしていかねばならない、と真木は思う。
だから彼は、このとき兵部に向かって、こう言った。
「しかし、どうしてくれるんですか、少佐」
突然、真木から叱責の声を上げられ、兵部は身に覚えがないと言わんばかりに真木を見た。
「急になんだ真木?藪から棒に」
「あんな男をあっさりと帰しちまって、P.A.N.D.R.Aは大損害ですよ」
「へっ?」
目を丸くする、兵部。
「おい真木・・・まさかお前、あいつが本気で僕らの害になるとでも、思っているのかい?」
「ええ、そうですとも。
・・・彼を失って、我々P.A.N.D.R.Aは大損害です。せっかく、少佐にお誂え向きの、いい暇つぶしの道具ができたっていうのに」
真木の言葉に、兵部は思わず拍子抜けしたような表情になり、目を瞬いた。
しかし、真木の言葉の意味するところを悟るや、すぐに大声を上げて笑いだした。
「あはははっ!
そりゃ確かにそうだ!僕はどうやら、とんでもないものをうっかり手放してしまったらしい!」
兵部の開き直ったような明るい笑い声に、P.A.N.D.R.Aのメンバーも表情を緩める。
「本当に残念ですね。少佐、彼のこと結構気に入っていたんでしょう?」
「私は、本気で少佐が、彼をP.A.N.D.R.Aに引き入れると思っていましたよ。
ほしいものには何でも、子供並の執着心で手に入れる少佐が、彼をあっさり返したときは、拍子抜けしてしまいました。
てっきり、彼のことも強引にP.A.N.D.R.Aに引き込むのかと思って」
「ええ、俺たちにそうしたようにね」
すると、兵部は「わかっていないなぁ」と言って、人差し指を横に振った。
「彼は、もうすでに僕たちP.A.N.D.R.Aの一員さ。
だが、彼には彼でやらなければならない仕事がある。だから僕は、彼をP.A.N.D.R.Aの捜査員として(・・・・・・・・・)、あの組織に派遣したんだよ?」
「またそんなこと言って。いい歳して、負け惜しみはみっともないですよ、少佐」
「負け惜しみなんかじゃないさ。
ただ、彼は彼のすべき仕事を全うする。僕は、それをみてみたくなっただけだよ」
そう言うと兵部は、ヒノミヤの去っていった方角の海を仰ぎみた。
(さて、きみはこの数ヶ月の出来事を、どういう風に報告するをだろうね。
僕は、それが知りたいんだ。
きみが、思ったことを。感じたありのままのことを。
それは、僕にとって、とても大切な気がするからーー)
所属するUSEIの船に乗船すると、ヒノミヤは息つく間もなく、すぐに上司の部屋に呼ばれた。
それだけ自分は、重要な情報を持ち帰ってきたと認識されているのだろう。
部屋へと続く長い廊下を歩きながら、ヒノミヤはぼんやりとそんなことを考えていた。
正直、まだ報告できるほどに頭の中は整理できていない。この数ヶ月間では、それだけいろいろなことがありすぎたのだ。
しかし、それにもかかわらず、ヒノミヤは上司のいる部屋のドアをノックすることに躊躇しなかった。
なにより、今感じていることを、そのまま上司に報告したかったのだ。
彼が見てきたままのことを。何の先入観のない、このまっさらな気持ちのままのうちに。
ーーきみは、ありのままを報告すればいい。
ここで起こったことも、きみの目から見たすべてのものを、見たままに言えばいいんだ。
そのときふと、先刻の兵部の言葉が頭の中で聞こえてきた。
(ーーそうだ、俺には、ありのままを報告する義務がある。
この数ヶ月間みてきたそのままのことを、包み隠さずにーー)
気を引き締めると、ヒノミヤは、上司のいるであろう部屋のドドアを、強くノックした。
「失礼いたします。アンディ・ヒノミヤ、ただいま任務を終え、帰還いたしました」
「入れ」
部屋の中からすぐさま上官の返事が帰ってきた。
どうやら待ちわびていたらしい。入るなり、正面の机で肘を突いた上官の鋭い視線が、ヒノミヤを捉えてきた。
「ご苦労だった、捜査官アンディ・ヒノミヤ。
早速だが、報告してもらおうか。君が潜入を果たしたエスパー犯罪組織、P.A.N.D.R.Aについて」
一礼していたヒノミヤは、上官アランの声に答えるようにして、ゆっくりと顔を上げた。
ヒノミヤの決意に満ちた目が、そこにある。
いつもと違うその表情に気づいて、上官のアランは「おや?」と思った。
この優秀な部下を持って数年。
今までに、彼のこんなに凛とした姿を見たことがあっただろうか?
今回の潜入捜査では、どうやら彼自身(・・)についても、収穫があったらしい。
アランは内心で微笑むと、報告に来た部下に好奇に満ちた目を向けた。
そして、密かに誓う。
これから彼が報告することには、一言一句漏らさず耳を傾けようと。
きっと、収穫に満ちた報告が待っているのだろうから、と・・・。
「はい。それでは、今回私が潜入捜査をした、エスパー集団P.A.N.D.R.Aという組織について、報告いたしますーー」
ーーENDーー
*********************
と、いうわけで、アンリミの勝手な最終回の妄想でした。
おつきあいくださいました方、ありがとうございました!
何だかいろいろ秘密がありそうなアンディさんについては、最後までいい人設定のままがいいな~っということで。
そして、少佐との素敵な友情(?)を得つつ帰っていくのがいいな~・・・っということで。
このアニメは、おそらく「アンディさんから見た兵部さん」が一つのテーマでしょうし、
「兵部さんと接することで、アンディさんがエスパーやノーマルについて考えさせられる」という展開が予想されますので、
その一つの答えとして、こういうラストも全くナシではないかな、と。
っていうか、こういうラストでの男の友情って、さわやかで好きだ!(え)
兵部さんとアンディさんには、ぜひ、素敵な友情をはぐくんでいただきたいものです(ナニ)
以上、アニメから絶チルに入った初心者による、勝手な妄想でした(汗)
…あ、ちなみに。
別れ際にアンディさんが「預かっておいてくれ」と言って少佐に渡したのが何故アレなのか(笑)という点は…。
単に、現在放送済みの第一話で、他に兵部さんがアンディさんに渡してる「それらしいもの」が、それしかなかったからです(え)
(いや、実際にはそれも渡してるかは不明なんですが)
シリアスなシーンに何故アレ?(笑)という理由は、単にそれだけですんで。
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