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トリブラに愛を注ぎつつ、私的おすすめ本の紹介や、読んだ本にまつわるssなど、思いつくままに・・・
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先日、トリブラをupしたところなのですが。

やっぱり、年が明けても相変わらず続いてます、忍たまブーム

と、いうわけで。
また連載をやりたいなぁなどと思った次第です。
今回は、以前ちょこっとだけ言っていた(ような気がする)6は組メインのお話です。
そう、題して、

「落第忍者伊作」!

・・・なんちゅうタイトルをつけるんだということは、かなり承知しております・・・

内容は、ずばり、元祖1年は組
今の6年生が1年生だったときのお話を、元祖不運小僧である伊作先輩を主人公に書いていきたいなぁと思っております。

タイトルのわりに、おそらく内容は・・・笑うしかないような感じだと思うのですが;;
とりあえず、がんばっていきたいと思います

ではでは、さっそく第1話を以下に。
よろしければ、おつきあいください。




****************

【不運小僧は健在ですの段】
 
自分の周りが、あっという間に炎で包まれてゆくのを、その忍者は、ただ呆然と見ているしかなかった。
うっかりしていた。これは完全なる自分のミスだ。
城の城主は、自害する寸前に、とんでもない情報を残していってくれた。それを手に入れることに夢中になり、気がつくと、自分の退路は、燃え盛る炎によってすっかり奪われていた。
どうするか。このままでは、自分も城もろとも焼け死んでしまうのがオチだ。
しかし、四方八方を炎に包まれた状態で、どう逃げ出せと?
無理だ。そんな事が出来るはずがない。
しかし、それでも彼はやらねばならなかった。
――この情報を、早く我が殿にお伝えせねば。
そうでなくば、次に同じ目にあうのは自分たちだ。この忍者には、それがわかっていた。
だから、ここで自分が死ぬことは許されない。
この情報だけは、必ず持ち帰らねばならないのだ。たとえ、この身がどうなろうとも・・・
――覚悟を、決めねば。
キッ目を見据えると、彼は、炎の中に自ら身を投じた。
その視線の先、はるかか彼方、自分のこれから歩いていく道の向こうに、自分の戻るべき城を見据えて・・・
 
*********************
 
山道の途中にある大きな木下で、一人の少年がちょこんと座っていた。
彼は、いかにも人のよさそうな目をぱちくちさせて、あたりを見回している。
 
――少年の名を、善法寺伊作という。
 
「あ~あ。おそいなぁ、とめさぶろーのやつ。ここで待ち合わせしようっていたのは、そっちのくせに」
 そう。少年は人を待っていた。その人物は彼の親友で、これから行く学校に二人で登校しようと、先日約束したばかりなのだ。
 にもかかわらず、定刻をとっくに過ぎても、親友はあらわれる様子がない。
 少年が退屈そうに辺りを見まわしていると、遠くから、別の少年の声がきこえてきた。
「・・・さく~、いさくー」
「あっ」
 その声を聞くと、伊作は腰を上げた。遠くから走ってくる少年に向かって、嬉しそうに手を振る。
 そう、彼こそが伊作の親友、食満留三郎であった。
「遅いじゃないか、とめさぶろー!」
「悪いわるい。実は途中で・・・って、いさくッ!?」
 伊作の姿を確認するなり、留三郎は目をむいた。
「どうしたんだ!もう既に傷だらけじゃないか!」
 そう。何事もなかったかのように微笑む伊作の服は既に泥まみれ。ほほには猫にでも引っ掻かれたかのごとく、たくさんのかすり傷がついており、草履の鼻緒は、既に切れかけている。
 しかし、伊作はまったく気にする様子がなく、
「あぁ。これは、ここに来る途中に猪に追いかけられて、川に落ちたら川の底にあった大きな鍋に草履が引っかかっちゃって、必死になって拾って川から上がったら、こうなった」
 と、まるで何事もなかったかのようにのたまった。
 あまりの不幸エピソードに、留三郎は呆れてものもいえない。
 実はこの伊作、何故か不幸に見舞われやすく、クラスメートからは「不運小僧」とあだなされている。
 まぁなぜ彼ばかりがこんなに不運なのかは、1年は組の七不思議のひとつであるが、原因の一つに、学園内でも「不運委員会」と呼ばれ敬遠されている保健委員会に、彼が所属していることが関係しているのだろう。
「あいかわらず、不運なやつだな・・・まぁいいか」
 入学以来、ずっと伊作とつきあいのある留三郎には、こうした伊作の不運ぶりは慣れっこなのだ。
「そんなことより、はやく学園にいこう。このままだと、遅刻だよ」
 そう。彼らは、きわめて特殊な学校に通っている――
 その名を、忍術学園。
 忍者を目指す忍者の卵、忍たまが通う、忍者の、忍者による、忍者のための学校なのだ。
 しかし、慌てて駆け出した二人は、1分と立たないうちに、再び足を止めることになった。
「あッ!」
 前を走っていた伊作が急に止まったのだ。留三郎は、勢い余ってぶつかりそうになってしまった。
「どうしたんだ伊作!急に立ち止まったりして」
あそこに、おじいさんが倒れてる
「ん?」
 留三郎は、伊作の指差す先に目をやった。確かに、山道のど真ん中に、一人の老人が倒れていた。
「早く助けないとッ!」
 慌てて老人のもとへ駆け出そうとする伊作を見て、留三郎は何故かもの凄くいやな予感がした。別に、そこに根拠があるわけではない。いうなれば、そう、今までの経験からくる勘というやつで・・・
「あぁッ、待て伊作!倒れている老人に関わるとロクなことがないというのが、『落・伊』のお約束じゃないかッ!
 ちなみに『落・伊』とはもちろん、『落第忍者伊作』の略である。
 しかし、留三郎のごもっともな忠告を、伊作は一蹴した。
「でも、放ってはおけないよ!だって、僕は保健委員だもん!」
 きっぱりと断言する伊作に、留三郎はただ呆れるしかない。そんなわけで、留三郎の忠告もむなしく、伊作は老人に駆け寄り、抱き起こした。
「大丈夫ですか、おじいさんッ!?」
 伊作の問いかけに、老人はかすかに目を開けた。
「おお・・・君は、誰じゃ?」
「僕は、善法寺伊作といいます。たまたま、ここを通りかかって・・・おじいさんは、こんなところで一体、どうされたんですか?」
「じ、じつは・・・」
「実は?」
「いい天気だから、栗でも食べようと思って、山に取りにいったんじゃが、落ちていた栗で足を滑らせて、そのまま崖から滑り落ちて。
そのあと、もう一度山に登って、今度は栗を取れたんじゃが、食べようと思って、火の中にくべていたら、焼けた栗がはねて顔面を直撃し・・・」
「なるほど、それで栗が顔に当たって、やけどをしてしまったんですね」
 まるでその場の情景をすべて見ていたかのように、伊作は深く頷いた。
 傍から見ると、いかにもウソくさいエピソードであるが、お人好しで、しかも不運体験も豊富な伊作には、老人の話が真実を帯びて聞こえているらしい。
「ああ。そして、驚いてまた崖から落ち、気づいたらここに倒れとった」
「そうでしたか・・・それは、お気の毒に」
 本気で老人に同情する伊作に、後ろで見ていた留三郎は呆れていった。
お前にだけは絶対言われたくないと思うぞ、そのセリフ
 確かに、ごもっともである。
 しかし、今や「不幸な人」同盟で結ばれた二人は、留三郎のことなどすっかり忘れ、互いに気を許しあっていた。
「そこでじゃ、親切な若者さん。ひとつ・・・頼みがあるんじゃが」
「頼み?」
「ああ。包帯を、もっておらんかね。やけどの治療をしたいんじゃ」
「今、ここでですか?」
 留三郎が、不審な目を向ける。
「家は近くなんでしょう?こんなところで長居するより、早く家に帰って手当てした方がいいんじゃないですか」
 留三郎の言葉に、伊作もうなずく。
 しかし、留三郎の目に疑いの色がありありと浮かんでいるのに対して、伊作の方は、本気で老人のことを心配しているようだ。
「そうですよ。あぁ、よかったら僕たち、家まで送ります」
 いつの間にか自分まで数に入れられていることに、留三郎は内心ムッとする。
「おい、伊作ッ!そんな事をしていたら、新学期早々、本格的に遅刻だぞ」
「やむをえないだろ。目の前で困っているご老人を放って、ノコノコと登校なんて出来ないよ」
 まぁ確かにお前はそういう奴だよな、とは思いつつ、やはり留三郎は、どこか納得がいかない。
 二人がいがみ合っていると、老人が少し困った顔をしながら、二人を手で制した。
「あ、いや、いいんだ。今日は遠出をしてきてしまってね。家は結構遠いところにあるから、君たちをつき合わせるのは忍びない。
それに、ここでしばらくじっとしていたら、またじきに元気になるじゃろう」
「そ、そうですか・・・?」
 老人の言葉に頷きつつ、伊作は、それでも心配そうだ。
 しかし、留三郎の方はといえば、案外話のわかる老人の言葉に甘えて、早々にこの場を立ち去ろうと必死だ。
「ホラ、伊作。このおじいさんもそう言ってることだし、早く行こうぜ」
「でも・・・」
 留三郎の言葉に、老人も頷く。
「ほれ若者さん。連れの人もそう言っとるし、わしのことは気にせず、行きなされ。あぁ、ただ、包帯は分けてもらえるとありがたいがな」
 すると、伊作はまるで一大決心でもしたかのように顔を上げて、断言した。
「・・・わかりました。じゃあせめて、ここで手当てしますッ!」
 だぁッ・・・!
 期待はずれの伊作の言葉にコケた留三郎を全く無視し、伊作は突然、どこからともなく大量の包帯を取り出した。
「ど、どうしてそんな馬鹿でかい大量の包帯を持っているんだッ。っていうか、どこに持ってたッ!?」
「そりゃあ、持ち歩いて当然だろ。だって、私は、保健委員だからッ!」
その言葉に、今度こそ留三郎は頭を抱えた。
「あー、そうでした。聞いた俺が馬鹿だったよー・・・」

*****************

落第忍者伊作、略して「落・伊」(苦笑)第一話でした。
ここまでおつきあいいただき、ありがとうございました!

タイトルは、原作っぽく(?)やってみたんですが、う~ん、やっぱり難しい・・・

1年生らしさを出すため、伊作には留三郎のことを「とめさぶろー」と呼ばせてみましたが・・・
いかがだったでしょうか?

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