トリブラに愛を注ぎつつ、私的おすすめ本の紹介や、読んだ本にまつわるssなど、思いつくままに・・・
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前回から始まりました、
「落第忍者伊作」、略して「落・伊」
「不運小僧は健在ですの段」の第2回をお送りします。
今回は、いよいよ「1年は組の問題児」伊作、・留三郎が、忍術学園に到着。
土井先生や安藤先生なんかも出てくる・・・はずです
では、よろしければ、以下、おつきあいください。
「落第忍者伊作」、略して「落・伊」
「不運小僧は健在ですの段」の第2回をお送りします。
今回は、いよいよ「1年は組の問題児」伊作、・留三郎が、忍術学園に到着。
土井先生や安藤先生なんかも出てくる・・・はずです
では、よろしければ、以下、おつきあいください。
****************
そして。
そして。
一方こちらは、忍術学園1年は組――伊作と留三郎のクラスの教室である。
一時間目の授業を担当する1年は組の教科担当、土井先生は、教壇で出席簿を手に怒りを募らせていた。
(・・・遅い。遅いぞ伊作、留三郎ッ!
もうとうに授業は始まっていると言うのに、新学期早々、どうしてこうも堂々と遅刻しているんだーッ!)
土井先生が、手にした出席簿を強く握り締めていると、生徒の一人が手を挙げた。
「せんせ~。出席、とらないんですか~?」
とうとう、生徒の一人が禁断の一言を放ってきた。
すると、教室内が一斉に、子どもたちのヒソヒソ声で包まれた。
「それを言うなよ、三太夫。せっかく土井先生が気を利かせて、待ってるんだから」
「あ、そうだよね。ごめんごめん」
「でも、今日はいつもに増して遅いよねー二人とも」
「ほんとほんと」
生徒たちの小声を聞きつつ、土井先生は、胃のあたりをおさえていた。
(・・・せっかく、新学期だから少しくらい待ってやろうと思っていたが・・・もう限界だぞ、二人とも・・・)
土井先生は、それでもなお、しばらくうつむいて一人葛藤を続けていた。
しかし、いくら待てども二人がこないことを悟ると、心を鬼にすることに決め、顔を上げた。
「――よし、それでは、これから出席をとる。呼ばれたら、手を挙げて返事をするように」
・・・
そして。
「・・・善法寺伊作。いさくーいないかー」
土井先生は呼びかけたが、やはり、返事がない。
「先生~、伊作ならまだ来てません」
「・・・やはりか。じゃあ次、食満留三郎」
「留三郎もまだです」
結局二人は、またしても新学期早々の大遅刻をやらかしてしまったようだ。土井先生は、大袈裟なそぶりで額に手をやった。
「はぁ。せっかく待ってやったのに、この有様か・・・。じゃあ、授業を始めるぞ」
「「「はーい」」」
そして。
授業をしていると・・・
ダダダダダダッ!
物凄い足音が廊下を駆け抜け、は組の教室の前で止まった。そして。
バンッ!
勢いよく扉が開かれ、
「先生ッ!遅れてすみませんッ!」
そこには、なぜかぐったりとした姿の留三郎がいた。その脇には、同じくぐったりとした様子の伊作が抱えられている。
その姿に一瞬言葉を失いつつも、次の瞬間には、土井先生の鋭い声が飛んでいた。
その姿に一瞬言葉を失いつつも、次の瞬間には、土井先生の鋭い声が飛んでいた。
「二人とも、新学期早々遅刻だぞ!早く席に着け!」
遅れてきた二人の登場に、クラスメートからは、笑い声やからかいの言葉が次々と浴びせられる。・・・が。
「・・・って、どうしたんだ、伊作!?またそんなにボロボロになって」
土井先生は、伊作の方に目をやって驚いた。
「あ、せんせー、おはよーございます・・・・」
伊作の遅れた挨拶に、「もうとっくに挨拶はすんでるよー」とクラスメートたちがツッコむ。
「あ、これは、今日登校する途中に、猪に追いかけられて、川に落ちたら川の底にあった大きな――」
伊作が長々と話し始めたので、慌てて土井先生はストップをかけた。
「あー伊作、もういい、わかったわかった。とにかく二人とも、授業が済んだら、服を着替えてきなさい。とりあえず今は授業中だ」
「「はぁい」」
軽い嘲笑につつまれながら、二人はとぼとぼと席に着く。土井先生は、そんな二人を意識しつつも、なるべく平穏さを装って再び教科書の説明に戻った。
「さて、この縄梯子の使い方だが――」
伊作と留三郎は、そんな土井先生の説明をBGMに聞きながら、口をつぐんだ。
すっかり気落ちした様子で教科書を取り出していると、となりの席の兵次郎が、ニヤニヤ笑いながら二人に小声で話しかけてきた。
「ねぇ、それで?今日は一体、どんな不幸な目にあってきたの?」
その言葉には、悪気はなくとも、軽いからかいの色があった。どうやら、二人の不幸エピソードが、授業より面白い話のネタらしい。
自分の散々な出来事が茶化されていることにムッとしつつ、留三郎は怒りを堪えて押し殺した声で言った。
「・・・登校途中に、道端で倒れている老人に出くわしたんだ」
すると、兵次郎は興味を失ったかのように、乗り出していた身を戻した。
「なぁんだ、またその話か。つまんないの。
伊作が倒れている人を見つけて遅刻したのって、もう何回目だよ?おじいさんのパターンだけで、軽く7回はあったんじゃない?」
あーあ、期待して損したなぁ・・・などと呟きながら目をそらした兵次郎に、気の短い留三郎の怒りが、とうとう頂点に達した。
「ざっけんじゃねぇぞッ!平次郎ッ!俺が、その毎度毎度のお約束のせいで、どんだけ困ってると思ってんだッ!」
留三郎が、授業も全く無視して叫ぶと、隣の席の伊作が、留三郎の肩を押さえて制してきた。
「あーもう、やめてよ留三郎。今朝のことなら謝るから!とにかく、今は授業中、授業中」
声を抑えていたはずの二人の会話であるが、ことのほか大きく教室に響いていた。それを、最初のうち土井先生は、寛大な御心で見逃していたが・・・
「だってさ、伊作。こいつ、人の苦労もしらないで・・・ッ!」
「でもさ、とめさぶろー、今は授業中なんだから、抑えて・・・」
次第に大きくなる二人の声に・・・
ポキッ!
とうとう、黒板に文字を書く土井先生のチョークが折れた。
「・・・伊作、留三郎・・・二人とも、堂々と遅刻してきたわりには、全く反省していないようだな・・・」
押し殺した声で振り返った土井先生の顔は、思いのほか怒りに満ち溢れていた。その様に、
「まずい」
「土井先生がキレた」
と、は組の生徒たちが口々に言う。
そして、彼らの予感どおり、次の瞬間土井先生は叫んだ。
「二人とも、頭が冷えるまでバケツ持って廊下に立ってろーッ!」
――というわけで。
「・・・言っとくけど、今回は、私のせいじゃないからな」
ふてくされた様子で、伊作は言った。
「わぁかってるよッ、そんなこと!」
伊作よりさらに不機嫌な声で、留三郎が言い返す。
そう。彼らは土井先生の怒りを買い、廊下に立たされていた。
教室の中からは、土井先生の少しいらだった声が聞こえてくる。授業の内容は定かではないが、どうせ今真剣に聞かずとも、あとで補習を受けることは目に見えている。
「だったら、いいけどさぁ」
留三郎の言葉に、伊作はぷいと背を向けた。彼も、それなりに怒っているらしい。
――すると。
「おやおや。これは1年は組の問題児二人組じゃないですか」
前方から、今もっとも合いたくない人物の声が聞こえてきて、二人は思わず声を上げた。
「げっ・・・」
「安藤先生・・・」
いかにも皮肉たっぷりに言ってきたのは、1年い組の教科担任、安藤先生だった。
すると、安藤先生はスタスタと二人のもとへやってきて、二人に疑いの目を向けた。
「なんですか?今、こっそりと「げっ」とか言いませんでしたか?」
イヤミな上にこの教師は、地獄耳なのだ。
二人は慌てて安藤先生から目を逸らすと、そらとぼけて
「そ、そんなこといってませーん」
「同じくー」
などと嘯いた。
いかにも怪しげな二人の態度に、安藤先生は疑いの目を強める。
「ふたりとも、明らかにそっぽ向いて、怪しいですね・・・・
まぁ、しかし、いいでしょう。
まぁ、しかし、いいでしょう。
それにしても、二人とも、仲良く廊下で反省会ですか。は組のみなさんは、新学期早々ご苦労ですねぇ。もっとも、我が優秀な1年い組には、廊下に立たされるような生徒は、一人もおりませんが」
むかっ。
どこかつっかかる安藤先生の言葉に、二人とも、思わず不満の目を向ける。
しかし、そんな二人の視線をむしろ満足そうな笑みで返しながら、安藤先生は続けた。
「特に、1年生ながら、冷静沈着な立花仙蔵。日々鍛錬を惜しまぬ努力家の潮江文次郎。彼らはとても優秀な忍たまです。君たちも、少しは見習ったらどうですか」
「あ、あんどぉー」
「とめさぶろー、おさえて、おさえて」
気の短い留三郎は、早くもキレかけだ。
今しも飛びかかろうとする彼を、必死で伊作が止める。新学期早々、これ以上の騒動を増やすなどまっぴらごめんである。
今しも飛びかかろうとする彼を、必死で伊作が止める。新学期早々、これ以上の騒動を増やすなどまっぴらごめんである。
伊作が留三郎を抑えていると、安藤先生は、気が済んだのか、二人から目をそらした。そして、去り際に一言。
「ま、しかしせっかくなので、二人はこのままここに立っててください。
あぁ、君たちは、いつまで廊下に立ってるんだろうか、なんちゃって」
えへ。
おちゃめに微笑みながら、寒いおやじギャグをとばしてきた安藤先生に、とうとう留三郎がキレた。
「あんどぉーこのやろーッ!ダメって聞いてりゃ――」
「あぁッ、ダメだよ、とめさぶろーッ!こんなところで騒いだら、また土井先生に叱られ・・・・あうッ!?」
「い、伊作ッ!?」
しかし、留三郎を止めようとした伊作は、運悪く足元においてあったバケツに足を突っ込んだ。こうして二人は、仲良く水を被るハメになったのだった。
**************
「落・伊」(苦笑)第2回でした。
ここまでおつきあいいただき、ありがとうございました!
ここまでおつきあいいただき、ありがとうございました!
さてさて。
ここでいくつか補足説明なぞ。
現在の忍たまの5年前の話なのですが、
基本的な設定は、現在の忍たまと同じにしてあります。
つまり・・・
1年い組は、安藤先生と厚木先生の担当で、潮江文次郎と立花仙蔵が所属。
1年ろ組は、斜堂先生と日向先生の担当で、中在家長次と七松小平太が所属。
1年は組は、土井先生と山田先生の担当で、善法寺伊作と食満留三郎が所属。
と、なってます。
あ、土井先生はまだ25歳なんだし、5年前にはまだ教師じゃなかったんじゃないかとか、
そういう突っ込みはなしで(笑)
多分、言い始めるとキリがないくらい、たくさん矛盾が出てくると思うので。
・・・ですが、
まだ忍たま歴の浅い私に、もしご丁寧に教えていただける方がいらっしゃれば、大変ありがたいです(ナニ)
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