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トリブラに愛を注ぎつつ、私的おすすめ本の紹介や、読んだ本にまつわるssなど、思いつくままに・・・
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少しずつupしてます、
落第忍者伊作」、略して「落・伊」

不運小僧は健在ですの段」の第3回をお送りします。

今回は、学園長先生が出てきて、
本家落・乱の3人と同じ目に、伊作と留三郎があうことに・・・?

では、よろしければ、以下、おつきあいください。
 




 

***************
 
 こうして一時間目の授業が終わり、伊作と留三郎は、ずぶぬれになった服を、井戸のそばで揃って洗っていた。
「・・・ったく。朝からヘンな老人に絡まれた挙句、新学期早々の遅刻で廊下に立たされ、安藤先生の嫌味を聞かされたあとは水浴びか・・・
ほんっとーに、お前と一緒にいると、こっちまで不運な目に合わされてる気がするぞ」
 汚れた服の泥を払いながら、留三郎は不満を垂れ流すことにも余念がない。
 すると、留三郎の愚痴を聞き流していた伊作が、怒りを押し殺した声で言い返してきた。
「だけど、言っとくけど、廊下に立たされたのは、とめさぶろーのせいだからな」
「もとはといえば、お前があの老人を助けるとか言ったせいで、遅刻したからだろ」
「それだって、そもそも待ち合わせに遅れてきたのは、とめさぶろーの方じゃないか」
 伊作の言葉に、気の短い留三郎はカッとなって立ち上がった。濡れた服を振りかざしながら、力の限り叫ぶ。
「なんだとッ」
「なにおぅッ」
 二人が、顔面をつき合わせていがみ合っていると・・・
ゴンッ!
 突然背後から、硬い何かの角で頭を叩かれ、反動で仲良く頭をぶつけた。振り返ると、そこには出席簿を手にした土井先生が立っていた。
「ど、土井せんせい・・・」
 留三郎が、頭を抑えながら不満そうな目を向けると、土井先生は、腰に手を当てて二人をたしなめた。
「二人とも、いつまでもケンカしてないで、さっさと次の授業の準備をしろッ!」
 


「はぁ」
 職員室に戻ると、土井先生は第一声でため息をついた。心なしか、胃のあたりに痛みを感じるような気がする。
 すると、先に来ていた山田先生が、土井先生をいたわるようにして話しかけてきた。
「朝から、大変だったようですな、土井先生」
「山田先生・・・」
「安藤先生から聞きましたよ。例の二人組、新学期早々また何かやらかしたんですか」
「え、ええ・・・」
 
「それはそれは。大変でしたな、土井先生」
 土井先生の話しを聞き終えると、山田先生も、土井先生と同じように深くため息をついた。
「ええ、まったく・・・
二人とも、悪い子ではないんですけどね。
伊作は、頭はいいけれど、忍者になるには優しすぎるのが難点。留三郎は、スジはいいと思うんですが、何しろ、あの通りの短気で・・・」
「確かに。それはよくわかりますぞ、土井先生。
しかし、彼らもまだ1年生です。この学園で学んでいくうちに、成長していってくれるでしょう」
「ええ。私もそう、願ってます」
 そしてこのとき、二人の先生の会話を廊下で聞いていた人物がいた。学園長だった。
 話しを聞き終えると、学園長は、突然ドアをバンッ、と開けた。
「よしッ!それではこれから1年は組の伊作、留三郎に、兵庫第三共栄丸三の新鮮なお魚を取りに行ってもらおう!」
 突然の登場に、二人の先生は目を丸くした。
「・・・学園長先生」
「どうしたんですか、急に?」
「二人の成長を温かく見守りたいという、先生方の優しいお心は、よーくわかった。そこで、お魚を取りに行くことを通じて、二人に、忍者としての訓練を積んでもらおうじゃないか!」
 高らかに宣言する学園長を前にして、二人の先生はコソコソと言い合った。
「忍者としての訓練って・・・」
「単に、自分が新鮮なお魚を食べたいがための、お使いじゃないですか・・・」
ん?何か言ったか?
 学園長の鋭い目が光る。慌てて土井先生は言った。
「いえぇ~何も。学園長先生のすばらしい思い付きには、いつも感心しております」
 土井先生の冷や汗交じりの言葉に、学園長は満足そうに大きく頷いた。
「うむ、そうじゃろう、そうじゃろう。では、早速二人に海に行くように伝えてくれ」
「・・・はい」
 苦労の耐えない土井先生だった。
 


そして、その日。授業が終わった後の1年は組の教室では・・・
「あーやっと授業が終わったね、とめさぶろー」
「そうだなー」
 伊作と留三郎は、仲良く背伸びをしながら、午後の予定について話し合っていた。
 朝から散々けんかをしあったはずの二人であるが、もうその後影もない。
 けんかしあっていても実のところ仲のいいのが、二人の美点なのかもしれない。
「午後から何する?」
「うーん、そうだなぁ・・・・」
 二人が、教室の窓から、仲良く空を見上げていると。
「伊作、留三郎、いるか!」
 土井先生の声がして、二人は振り返った。
「はい」
「なんでしょう?」
「お前たち、これから、授業の一環として、海へ行って兵庫第三共栄丸さんの新鮮なお魚を取ってきてくれ」
 土井先生の突然の言葉に、二人は目を丸くした。
「海?」
「お魚?」
「「えーなんで俺/私たちが?」」
 仲良く声をそろえて不満をぶつけてくる二人に、土井先生は少し呆れ顔を作りつつも厳しく言い放つ。
「新学期早々、遅刻してきた罰だ。これは、学園長命令だぞ」
「「そんなぁ」」
 今しも午後からのんびりしようと計画していた二人は、がっかりした様子で首をうなだれた。


**************

「不運小僧は健在ですの段」(苦笑)第3回でした。
ここまでおつきあいいただき、ありがとうございました!

「不運小僧」の回はこれで終わり、
次回からは、
「お魚もらいにぼくらは行くの段」です。

・・・イヤ、別に話は続くんですけどね

原作的には(特に30巻?くらいまでの)、
こんな感じで章だてがされるのかなぁ・・・とか、思ったので(気分的な問題?)
 
 
 

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