トリブラに愛を注ぎつつ、私的おすすめ本の紹介や、読んだ本にまつわるssなど、思いつくままに・・・
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だが。
「それに、ここはバーチャルなどといったものではありません。れっきとした、天国の入り口です。」
「じゃあ、何か。お前は、俺が天国に行く道案内に来てくれたってワケか?」
「道案内はいたしません。僕はあくまで、天使の審判官ですから。」
「・・・」
あまりにも食い違い過ぎる会話に、蛮はあきれて閉口した。
おそらくは、マクベスあたりがつくったバーチャルに違いない。
しかし、だからといって、自分そっくりの天使(自称)をつくったり、そいつに審判(自称)まがいの行為をさせるというのも、一体どういう彼の嗜好でそうなったのか、蛮にはほとほと理解しかねた。
(しかも天使のって何だよ、天使のって。フツー自分で言うか?)
「おまえさ、ちいったぁ人の話を聞け―」
しかし、蛮のツッコミなどさらりと無視して、少年はマイペースに続けた。
「では、あなたは天国に行くに相応しい人間だと思いますか?」
(何だよコイツ。)
少年のシカトぶりに、さすがにカチンもときたらしかった。
目を吊り上げて少年を睨むが、むろん、少年は眉一つ動かさない。出会ったときから何一つ変わらぬ、虚ろな瞳のままで、相変わらず蛮をじっと見つめている。
目を吊り上げて少年を睨むが、むろん、少年は眉一つ動かさない。出会ったときから何一つ変わらぬ、虚ろな瞳のままで、相変わらず蛮をじっと見つめている。
そこには、何の恐れも戸惑いもない。ただ、感情に乏しいだけだ。
蛮は、そんな少年への更なるあてつけのつもりで、飄々と言った。
「おー、思う思う。思うに決まってんだろ、そんなこともわかんねえのかお前はよ。」
「では、証人を呼びましょうか。」
少年は、傍らに手をかざした。すると、今まで何もなかった空間に、少年の身の丈をゆうに越す虚像が浮かび上がってきた。
・・・・それは、蛮のよく知る人物だった。
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