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トリブラに愛を注ぎつつ、私的おすすめ本の紹介や、読んだ本にまつわるssなど、思いつくままに・・・
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最近、ようやっと読みました。
今年の春に発売された、伊坂さんの新刊(と、言っても、もう次の本が出ましたけどね)
3年も前に書かれた、自称「第一期の最後作」だとか。
確かに、4人のパパの設定などでキャラ立ちしている点などは、「陽気なギャング」を思わせます。

そう。この作品の(個人的)魅力は、何といっても、一人息子に、四人のパパ

しかも、かなり個性的な面々なのです。
何しろ…

鷹パパは、賭け事に目がなく、一か八かの勝負が大好き。
勲パパは、中学の現役教師で格闘技好き。
悟パパは、大学教授でクイズ問題が得意な知性派。
葵パパは、居酒屋店主で元ホストの色男。

彼らの息子が、とある人気バンドの解散ライブに行きたいと言えば、
鷹は、賭場で知り合った怪しげな男のツテを利用し、
葵は、チケットセンターの女性に近づき、
悟は、チケット予約の電話のタイミングを必死に計算して、数台の電話を駆使し、
勲は、体力勝負で発売日前の夜から並ぶという有様。

こんな4人が、一人息子とともに一つ屋根の下で生活していて、何も起きないはずがない!
いろんな意味で。(←ナニ)

で、どういうことがおきるかというと
例えば、こういうことが、ありました↓↓


家に空き巣が入った。
やってきた警察官たちは、勲と葵を順に眺めると、「どちらがご主人ですか?」とたずねた。
「俺です」
「俺です」
二人が同時に右手を上げる。
警察官たちは、空き巣よりももっと重大な犯罪を目の当たりにした、と言わんばかりに顔を引き締め、「どういうことですか」と詰め寄った。
「どういうことも何も、俺たちがここの主人なんだ」勲は胸を張った。


まぁ、主人公である一人息子、由紀夫くんの苦労は、想像するに難くない
そして、由紀夫くんは、4人のパパの(少々無茶な)教えを活かして、様々な事件や災難を解決してゆくわけです。
そこは、さすが伊坂さんの技術というか。
決して、キャラ立ちだけでは終わりません。
伏線であっと驚きたい方は、ゼヒ細部まで丁寧に読むべし。
私のような速読&飛ばし読み派は、下手をしたら「そんな伏線あったっけ?」になっちゃいますからね。

ただ…
私のようなキャラ狙いで読む邪道派には、最初はやや平淡かもしれません。
この話は、決してキャラクターだけが目的で書かれたのではないことを、やはり忘れてはいけないなぁ…などと、読みながら思いました。

私のような邪道にとって、この作品の恐さは、
「ありえないことが、もしかしてこの世の中で、しかも身近に起こりうるかもしれない」と思わせるところでして。
普通に学校に通って、試験を受けて、そんな平凡な生活をおくっていても、
ふと足を踏み違えたら、怪しい取引の片棒を担がされたり、殺人現場に居合わせたり、犯罪者に監禁されたり…
私なんかは、「むしろ、もう少し創りモノ感を残して読者を安心させてくれても…」などと思ってしまいました
と、これは、いつも非現実的な話ばかり読んでいる私の、至極個人的感想ですが

いや~なんて言うか。
やっぱり伊坂さんは、恐ろしい作家さんだなぁ…

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