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トリブラに愛を注ぎつつ、私的おすすめ本の紹介や、読んだ本にまつわるssなど、思いつくままに・・・
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連載も落ち着いたので、
ここいらで久しぶりに、本の話などしてみようかと。
今回、取り上げるのはコチラ↓↓

湊かなえさん『往復書簡』、です。

『告白』でウワサの湊かなえさん。

前々から、面白いという評判は聞いていたのですが、

同時に、「暗い」「一週間くらい病む」という、ありがた~いご忠告も頂いていたので、

極めて小さい心臓の持ち主の私は、興味は持ちつつも、手をつけられずにいたのですが・・・

 

この本には、どうやらそんな心配はいらなさそうです

 

手紙形式だけでつづられる、短編3本。

内容はざっと、こんなかんじ?




――
これは、手紙を通してつづられる、過去の三つの事件の話。

 

一つは、山の祠に向かった演劇部員が、帰り道で足を滑らせ、怪我をした事件。

一つは、ピクニックに出かけた児童とその教師夫婦のうち、だんなと児童の一人が川で溺れ、だんなが溺死した事件。

そしてもう一つは、いじめられていた中学生が、いじめっ子を懲らしめようと閉じ込めた倉庫で火事がおき、いじめっ子が死亡し、いじめられっ子も自殺した事件――

 

それらは全て、本当に事故だったのか?

 

それぞれ10年、20年、15年という時を経て、大人になった主人公たちが、

事件の「真相」を知るために、当時の仲間に手紙を書く。

あなたなら、事件の真相を知っているのではないか?

何か知っていることがあれば、教えてほしい――

 

しかし。

 

手紙だからつける、嘘もある。

手紙だから話せる、本音もある。

そして、手紙だから可能な、トリックも・・・

 




・・・な、かんじ?

 

さらに、この本の安心できるところは、もう一点あります。

それは、最後にちゃんと決着(らしきもの?)がつけてあること

 

前回、伊坂さんの『バイバイ、ブラックバード』を読んだときは、

爽やかな色の素敵な表紙とは裏腹に、

内容は・・・

「あるところ」に連れて行かれる前に、

5人の彼女(!)に別れを告げに行く優柔不断な主人公、という何ともくら~いお話で・・・

肝っ玉の小さい私は、ちょっと、気が滅入ってしまったのですが。

(なので、今回は感想をパスさせていただいたのですが・・・(なぬ))

しかも、ラストのラストになって、主人公にかすかな希望のようなものが見えた?と思った瞬間に終わっていて・・・
しかも、その希望も、なんとも淡い希望で・・・。
ううむ、つい決着(?)を求めてしまう私には、ちょっと厳しかったかなぁ、とも。

・・・そして、あとあとになって、この話が太宰治の同名小説(?)に基づくものだと知り、
ようやくこのオチのワケを理解。
やはり、「読本」はよんでおくべきでした・・・


まぁ、それはともかく―・・・。


 

湊さんの『往復書簡』は、その点では、3作とも安心していいと思います。たぶん。

 

と、いうわけで、

この本で湊かなえさんデビューというのもいかがでしょうか?




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最近、ようやっと読みました。
今年の春に発売された、伊坂さんの新刊(と、言っても、もう次の本が出ましたけどね)
3年も前に書かれた、自称「第一期の最後作」だとか。
確かに、4人のパパの設定などでキャラ立ちしている点などは、「陽気なギャング」を思わせます。

そう。この作品の(個人的)魅力は、何といっても、一人息子に、四人のパパ

しかも、かなり個性的な面々なのです。
何しろ…

鷹パパは、賭け事に目がなく、一か八かの勝負が大好き。
勲パパは、中学の現役教師で格闘技好き。
悟パパは、大学教授でクイズ問題が得意な知性派。
葵パパは、居酒屋店主で元ホストの色男。

彼らの息子が、とある人気バンドの解散ライブに行きたいと言えば、
鷹は、賭場で知り合った怪しげな男のツテを利用し、
葵は、チケットセンターの女性に近づき、
悟は、チケット予約の電話のタイミングを必死に計算して、数台の電話を駆使し、
勲は、体力勝負で発売日前の夜から並ぶという有様。

こんな4人が、一人息子とともに一つ屋根の下で生活していて、何も起きないはずがない!
いろんな意味で。(←ナニ)

で、どういうことがおきるかというと
例えば、こういうことが、ありました↓↓


家に空き巣が入った。
やってきた警察官たちは、勲と葵を順に眺めると、「どちらがご主人ですか?」とたずねた。
「俺です」
「俺です」
二人が同時に右手を上げる。
警察官たちは、空き巣よりももっと重大な犯罪を目の当たりにした、と言わんばかりに顔を引き締め、「どういうことですか」と詰め寄った。
「どういうことも何も、俺たちがここの主人なんだ」勲は胸を張った。


まぁ、主人公である一人息子、由紀夫くんの苦労は、想像するに難くない
そして、由紀夫くんは、4人のパパの(少々無茶な)教えを活かして、様々な事件や災難を解決してゆくわけです。
そこは、さすが伊坂さんの技術というか。
決して、キャラ立ちだけでは終わりません。
伏線であっと驚きたい方は、ゼヒ細部まで丁寧に読むべし。
私のような速読&飛ばし読み派は、下手をしたら「そんな伏線あったっけ?」になっちゃいますからね。

ただ…
私のようなキャラ狙いで読む邪道派には、最初はやや平淡かもしれません。
この話は、決してキャラクターだけが目的で書かれたのではないことを、やはり忘れてはいけないなぁ…などと、読みながら思いました。

私のような邪道にとって、この作品の恐さは、
「ありえないことが、もしかしてこの世の中で、しかも身近に起こりうるかもしれない」と思わせるところでして。
普通に学校に通って、試験を受けて、そんな平凡な生活をおくっていても、
ふと足を踏み違えたら、怪しい取引の片棒を担がされたり、殺人現場に居合わせたり、犯罪者に監禁されたり…
私なんかは、「むしろ、もう少し創りモノ感を残して読者を安心させてくれても…」などと思ってしまいました
と、これは、いつも非現実的な話ばかり読んでいる私の、至極個人的感想ですが

いや~なんて言うか。
やっぱり伊坂さんは、恐ろしい作家さんだなぁ…

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『インディゴの夜』シリーズ 加藤実秋
ミステリフロンティア

現在3巻まで発売中。
新宿に居を構える一風変わったホストクラブ、Club Indigoのメンバーが、
事件解決のために夜の東京を駆け回るお話。

前から「いつかドラマ化するんだろうな~」と思ってたら、
まさか、このタイミングで、異色の昼ドラとは。
とはいえ、今回は原作の紹介なので、あくまで原作の内容にそって、ということで…

さてさて。
ホスト…というと、ごくごく一般人の私などには、どこか近寄りがたいイメージがありますが、
このホストたちはそんなことはありません。
親しみやすいキャラクターたちに、
きわめつけは主人公の三十路姐御が、奇怪な若者文化にツッコミをつけてくれるという親切さ(笑)
そして、ふらふらと生きているように描かれる彼らも、
自分なりの信念を持っているんだなということが伝わってきます。

まぁ、そもそもホストたちのオーナーが女性で主人公、
という設定自体がおいしいんですけどね☆

一応ミステリーですが、そしてホスト探偵団なんですが、
そんな難しい推理は全く出てきません。
美形ホスト集団が華麗に推理!というのとも、実は微妙に違うのですが;
(推理するのは、ホストをアッシーに引き連れた姐御なので。)
むしろ、軽快なテンポ感や魅力的なキャラクターがイイ感じです。

とにかく、
読めば一度はClub Indigoに行ってみたいと思うこと請け合い☆
普段は文字を読むのが面倒で漫画化に頼っている方でも、
気軽に読めそうですよ☆

ちなみに…
今昼ドラにて放送中なんですが、
あえてアニメ化なら、キャストは私はこんな感じ?

晶(あきら):杉本ゆうさん
塩谷:藤原啓治さん
憂夜さん:小野大輔さんか置鮎龍太郎さん
ジョン太:高橋広樹さん
アレックス:檜山修之さん
DJ本気:福山潤さん
なぎさママ:大川透さん
豆柴(刑事):楠大典さん
空也:諏訪部順一さん

キャストから、だいたいのキャラクター設定が割り出せる貴方はすばらしい(苦笑)
空也は絶対、諏訪部さんですね!
だって300人を抱えるクラブの頂点に立つNo.1ホストですよ。
業界の帝王ですよ!

…どこかで聞いた話だ(笑)

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えー・・・、最近、三ヶ月更新になっちゃってますが;
とりあえず、生存してます。慧仲です。
(↑えらくざっくりとした入りだな~)

今回ご紹介する本は、コチラ↓↓

        あるキング 伊坂幸太郎

最近伊坂さんは、出版スピード速いですね;
さすがは売れっ子。
ごく最近にも、『SOSの猿』が発売されたばかりですし。
そんな伊坂さんの最近作は、野球のスーパー天才児が、「王」となるべく成長してゆく過程を描いた「ファンタジー」。
ええ。ここまで来るともう、ファンタジーですとも。
ただ、これが伊坂ワールドならではというべきか、
いくつかお断りしなければならない点が。

①単純な成長物語ではない

子どものころから順を追って進行するストーリーって、一概に主人公の成長を描くものが多い印象がありますが、
これは・・・何と言うか、最初から出来上がっちゃってるというべきかも。

②決してサクセスストーリーではない

むしろ、「王」となるべく育つ人間に対する、周囲の拒否反応を描いたお話。
まぁ、そうなると、最初っからオチは見える気がしますが。
そんなアナタの読みがあたったかどうかは、実際に目で確かめてみてください。
ページも比較的少ないですし、サラっと読める点は「買い」ですよ。
前作『モンダンタイムス』の終わらないことといったら・・・

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 ダブルジョーカー 柳広司 角川書店


前回ご紹介した『ジョーカーゲーム』の続編がついに単行本化!
それも、私にしては何ともめずらしく、まだ発売して日も浅いこの時期にご紹介です♪
前回に引き続き、あの渋くて素敵なおじ様、結城中佐や、彼の率いる「D機関」のスカしたスパイの皆様が、日本で、ドイツで、インドシナで、素敵なご活躍を披露してくださいます☆

もう詳しい説明はいらないですね?では、今回の私的見所なぞを…

まず目をひくのは、何と言っても、「D機関」のライバル登場!
ですが、それはまぁ、楽しみにとっておくとして…
私的注目は、何と言っても、第二話「蝿の王」と第四話「柩」。

「蝿の王」は、日本軍に潜むソ連スパイのお話。
兄の死をきっかけにして、すっかりアカの思想にはまり込んだ彼の辿る運命は…
なんか、感情移入しちゃうんですよね、彼には。
ラノベ的にはよくいる、温和な感じの…でも、芯には強いものをもった青年なんですけど、それをこんなに書いてくれるとは。
このラストの迫力は、前作『ジョーカーゲーム』の最終話に通じるものがあると思います。

そして「柩」。
こちらはナチスドイツを舞台とした、軍靴も猛々しい雰囲気のお話。
明晰な頭脳で日本のスパイを追い詰めるナチス「スパイ狩り」との攻防がイイです。
ナチス好きにも堪らないかも。
さらには、結城中佐の伝説の過去話なんかも出てきたり…
こちらのラストは、ちょっとほろりとした感じ。
前作のラストでも垣間見えた、一見厳しそうな結城中佐の、隠れた思いやりが…もう素敵すぎます!
まさにダンディズム全開ですね!

2作目にして、結城中佐のことがかなり好きになってしまうこと請け合い(!?)
ゼヒご賞味あれ☆
突然2巻の途中から入るなんてのも、全然アリですぜ☆

…ただ、帯に「クライマックス」ってあるんですけど、
これって、「続きはもう出さねぇぞ」って意味ですかね~角川書店さ~ん?
雑誌野性時代の特集も、かなり期待してますからね~?

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