トリブラに愛を注ぎつつ、私的おすすめ本の紹介や、読んだ本にまつわるssなど、思いつくままに・・・
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映像が切れた。
「これでよく分かったでしょう。君が、天国に行くに相応しい人物かどうか。」
「おい、今ブチって切っただろ。思いっきりブチって切ったよな!?」
「これでもまだ分からないと言うのなら―」
「だーかーらぁ、もっかい銀次の映像を見せろっつってんだろ。」
「聞き分けの悪い人だな。どうしても納得しないというのなら―」
少年が、片手を空にかざした瞬間だった。
「―違うだろ。」
蛮は、少年の胸倉に掴みかかると、真剣な表情でまっすぐに彼を見た。
「だいたい、そういうお前はどうなんだよ、マクベス!」
その問いは、少年にとも、その背後にいる者に向けたとも思えるようなものだった。
「僕は・・・・・」
うつろな瞳に蛮が映った。
「僕は・・・・」
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怒りまくる蛮を横目に静かに見ながら、少年はマイペースに進めた。
「実はまだいるんだけど、呼ぶ?」
その一声に、蛮が掴みかからんばかりの勢いで振り返った。
「もちろんに決まってんだろォが。このまま引き下がってたまるかッ!」
「そう。それじゃあ。」
どこか面白げに少年は笑った。
そして、彼の底知れぬ笑顔とともに、再びホログラムが浮き上がってきた。
「もう。蛮ってばいつも依頼を選り好みしすぎなのよ。おまけにしょっちゅう依頼主と衝突するし。たまにはこっちのことも少しは考えてよね。これでもこっちは、アンタにいっぱい譲ってるつもりなんだから。」
「うげ、ヘヴン・・・・」
「おーい、蛮。たまにはツケなしで払ってくれよ。いつまでもツケためてるようじゃ、もうここに入れてやらないぞ。」
「お、おい、ポール・・・・」
「蛮さん、この前店番代わってくれるっていたのに、サボったでしょう?ひどーいっ!」
「だから、夏美、ちったぁ俺のことを褒めろって・・・・」
「君の観察はもうすんでるよ。」←鏡
「あんさんのギャグは、ちぃっとも笑えまへんなぁ。」←笑師
「どうしてあなたは、もっと私を楽しませてはくれないのですか?」←赤屍
・・・
・・・
「ねえ、蛮ちゃーん。どこにいったのか知らないけど、早く帰ってき―」
プツリ。
「じゃあ、第3の証人を呼びましょうか。工藤卑弥呼さん。」
「・・・う、なんか、イヤーな予感・・・・」
その名を聞いて、蛮は、ぼそりと呟いた。
現れた卑弥呼は、最初、こちらの視線など全く気がついていない様子で、斜め上の方をじっと見つめていた。
その表情には、わずかばかりの困惑と疲労が表れている。
その表情には、わずかばかりの困惑と疲労が表れている。
「ったくもう、蛮ってば、いつまで人のこと待たせるつもり?もうとっくに約束の時間はすぎてるのよ。」
卑弥呼のイラついた様子を見て、蛮はようやっと、自分が彼女と待ち合わせをしていたらしいことを悟った。
もっとも、そんな覚えはなかったが。
もっとも、そんな覚えはなかったが。
しかし、そんなことは、今はもうどうでもよかった。
蛮のことを、時間が過ぎても一途に待ち続ける女性(蛮曰く)・・・・これは、傍から見れば、大切な人を待つ彼女に見えなくも、ない!(蛮証言)
蛮はニヤリとした。
「おっ、どうやら、俺が帰ってくることを望むやつがいたみたいだな。」
優越感に浸りながら、蛮は少年を見た。
しかし、その瞬間―
「もう!蛮ってば、いつもこうなんだから。約束はすぐすっぽかすし、いつまでたってもガキ扱い!だいたいアイツ、調子よすぎるのよ。だから、毎回大切なところで金運がまわってこないんでしょうが。」
・・・・ブチリ。唐突に映像が切れた。
「てんめぇーっ!!卑弥呼のヤロー、今度会ったらぜってぇ承知しねえ!!!」
また少年の声にあわせて虚像が浮かび上がってきた。今度は、心なしか少し細身の人物だ。
「おっ、糸巻きなら、俺のことちったあ・・・」
蛮が淡い期待を抱いているうちにも、姿を現した花月が、少年と会話を始めていた。
「えっ?美堂くんについて、ですか?そうですね・・・・。」
突然の質問に、さすがの彼は戸惑った様子で言葉を濁した。
どうやら、士度ほどはっきりとは言わないにしても、彼にとっても蛮のことはコメントしにくいらしい。
「何でもいいよ。ずっと思ってきたこととか、今一番言いたいこととか、ない?」
「そうですね・・・・それでは、この際言わせて貰いますが、美堂くん。」
「うっ・・・」
心なしか彼の口調が強くなった気がして、蛮はいやーな予感を感じた。
「毎回僕の容姿のことでからかうの、やめてくれませんか?これでもけっこう僕、気にしてるんですよ。」
言うにつれて、彼の口調はだんだん怒りモードに突入していた。
「はい、そこまで。もういいよ、ありがとう花月くん。」
「え、もういいんですか?はい、それでは。」
優雅に一礼すると、花月の姿は一瞬にして消えた。
まるで、どこぞの激白番組のようなオチに、微妙な雰囲気が漂った・・・・かのように思われた。が。
「おい、てめえさっきからやつらに俺の悪口言うようノセてねえか?」
蛮は、少年の胸倉に掴みかかると、彼に軽くすごんで見せた。
これで少年も少しは懲りるだろう・・・・と思った。
これで少年も少しは懲りるだろう・・・・と思った。
しかし、掴みかかられても、何をされても、少年は表情を変えなかった。
「失礼ですね。僕はこれでも、公平に審判しているつもりですよ。」
けろりと言う口調が、蛮は何とも気に入らなかった。どうしてそう、悪びれもなく言えるんだコイツは?
「じゃあ、もうちったぁマシな人選考えろ。どう考えたって、俺に不利だろうが。」
「てってめえはっ・・・・」
蛮は、現れた人物の姿を見ると、挑発的な声を上げた。
しかし、蛮の声をさらりと無視して立っていた。
「やあ、冬木士度くん。よく来てくれたね。ご苦労様。」
「あ、ああ。いや、これくらいどーってことねえよ。」
男は少年の声に向き直った。
どうやら、蛮の声は届かないが、少年の声は届くらしい。
(一体、なにがどうなってやがるんだ?)
「ところで、今日来てもらったのは他でもない。君の友人の美堂蛮について聞かせてほしいからなんだ。」
「はあ?俺があのヘビ野郎について話すことなんて何もねえよ。」
ピキーンッ。
蛮の思考回路が、その言葉でいっきに熱を上げた。
「ああ゛!?なに言ってんだテメー!日ごろの貸しの数々も忘れやがって、何言ってやがる!」
蛮は、士度の虚像に向かって罵倒を浴びせた。
むろん、先ほどの経験からして、声は相手に届いていないことを見越した・・・・と、思われた。
むろん、先ほどの経験からして、声は相手に届いていないことを見越した・・・・と、思われた。
しかしー
「何言ってんだはそっちだろうが。だいたい、誰がお前なんかに貸しを作るか。作ってんのは俺じゃなくてお前の方だろ?ちいっとは考えろよな。」
「てンめぇー!!今度会ったらもう容赦しねえ!そのツラ二度と彼女が拝めないようにしてー・・・・っ」
「はいはいそこまで。」
相手がホログラムでなければ、早々に取っ組み合いのケンカになっていそうだったので、少年は早々に虚像を切った。
手を出そうとしていた蛮の体は、虚しくも空を切る。
手を出そうとしていた蛮の体は、虚しくも空を切る。
「ごめんね、冬木士度くん。ご苦労様。それじゃあ、続いて第二の証人、風鳥院花月くん。」