トリブラに愛を注ぎつつ、私的おすすめ本の紹介や、読んだ本にまつわるssなど、思いつくままに・・・
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「ああ、そうだったな。話がそれちまったが、そこのお前。(彼は蛮を見た)いいか。この洞窟の中に入ったら、必ず前を歩け。そして、地上へ戻るまで、絶対に後ろを振り向くんじゃねえぞ。」
「なっなんで?」
疑問を真っ先に発したのは、つぶらな目をした銀次(タレ)だった。
「この洞窟の中では、誰も姿を偽れねえ。そんでもって、ここのモンを喰っちまったこいつはもう、地上のモンじゃねえ。だから、今のコイツの姿は仮の姿。本当の姿は別にあるってことだ。」
男は、親指でそっけなく蛮を指差して言った。
そんな彼の行為が気に喰わなかったのか、蛮の表情が少し曇る。
「おめえ、やけに詳しいな。っつーか、どうして俺がここのモンを食ったって知ってやがる?」
蛮のあからさまな不審目に、男がまたあきれたような表情をした。まるで、毎度のお約束過ぎる展開にはもう飽きた、という風だ。
「俺は、ここを通る奴を何人も見てきたからな。まあ、ケースバイケースってやつだ。だが、言っておくが、俺の知る限り、ここを無事に通り抜けた奴は誰一人としていねえ。必ず二人とも、大王の下に強制送還されてそれで終わりだ。あの舟番みてえにな。」
「えっ、舟番って、カヅッちゃんのこと!?」
「カヅッちゃん?」
「あっ、えーっと、本名は風鳥院花月って言うんだけど、髪が長くって、鈴つけてて、でもってものすごーく綺麗な人。」
「ああ、そういやあの舟番、そんな名前だったか。男のクセに女みたいな顔した、別嬪さんだったな。やつもこの男と同じ。大王に気に入られちまったのさ。」
「でっでも、十兵衛が迎えにきたんでしょ?」
最近連載ペースが落ちつつありますね;ゴメンナサイ
でもでもっ、せめて一週間に1回のペースは守りたいと思っておりますので。。。
「なっなんで?」
疑問を真っ先に発したのは、つぶらな目をした銀次(タレ)だった。
「この洞窟の中では、誰も姿を偽れねえ。そんでもって、ここのモンを喰っちまったこいつはもう、地上のモンじゃねえ。だから、今のコイツの姿は仮の姿。本当の姿は別にあるってことだ。」
男は、親指でそっけなく蛮を指差して言った。
そんな彼の行為が気に喰わなかったのか、蛮の表情が少し曇る。
「おめえ、やけに詳しいな。っつーか、どうして俺がここのモンを食ったって知ってやがる?」
蛮のあからさまな不審目に、男がまたあきれたような表情をした。まるで、毎度のお約束過ぎる展開にはもう飽きた、という風だ。
「俺は、ここを通る奴を何人も見てきたからな。まあ、ケースバイケースってやつだ。だが、言っておくが、俺の知る限り、ここを無事に通り抜けた奴は誰一人としていねえ。必ず二人とも、大王の下に強制送還されてそれで終わりだ。あの舟番みてえにな。」
「えっ、舟番って、カヅッちゃんのこと!?」
「カヅッちゃん?」
「あっ、えーっと、本名は風鳥院花月って言うんだけど、髪が長くって、鈴つけてて、でもってものすごーく綺麗な人。」
「ああ、そういやあの舟番、そんな名前だったか。男のクセに女みたいな顔した、別嬪さんだったな。やつもこの男と同じ。大王に気に入られちまったのさ。」
「でっでも、十兵衛が迎えにきたんでしょ?」
最近連載ペースが落ちつつありますね;ゴメンナサイ
でもでもっ、せめて一週間に1回のペースは守りたいと思っておりますので。。。
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蛮の視線に、男は気づいたようだった。そっと顔を上げる。
獣じみた鋭い目が、二人をじっと睨みつけた。
「えっ!?えっ!?・・・・ってコトは、士~度―っ!!!!」
銀次(タレ)は、喜びをこめて男に飛びついた。蛮の時と同様、肩に乗ってじゃれじゃれする。
「士度~っっ!会いたかったよう。久しぶりだねえ。・・・・それにしても、士度どうしてこんなこところに?」
キョトンとした表情で、銀次は問い掛けた。
すると、男は「ようやっと気づいたか・・・・。」と言わんばかりに、ため息をついて言った。
「お前ら、ここに入って地上に戻るつもりなんだろ?じゃあ、一つ忠告しておいてやる。特に、そこの金髪の。」
男は、銀次を指差して言った。
「・・・・オっ、オレ?」
銀次は、ぽかんとしたまま、人差し指を自分に向けた。
(水臭いなあ。ちゃんと名前を呼んでくれればいいのにさ。)
「お前は、ここのモンじゃねえだろ?まあ、もっとも、お前がそうじゃなきゃあ、そこのツンツン頭は地上へは戻れねえだろうがな。」
「ああ゛?ツンツン頭だ?だーれーに向かって言ってやがるこのサル回しが。」
「あああっ、蛮ちゃんお願い落ち着いてぇぇ。」
すると、二人の様子にあきれたようにして、男は言った。
「ものはたとえだ。それに俺は、お前らの名前を知らねぇ。」
「そっそうなの?」
じゃあ、士度のそっくりさん?
首を何度もかしげながら、銀次(タレ)は男の顔をまじまじと見つめた。
「何だ、どうかしたか?」
銀次(タレ)のつぶらな瞳を見ると、男は、どこか不審げに銀次を睨んできた。
(・・・・やっ、やっぱり、似てる。っというか、ほんとに瓜二つなんだけどなぁ・・・・)
「うっ、え~と、なんでもないですっ!」
すっかり硬直してしまった銀次(タレ)は、鬼教官に名指しで呼ばれた生徒のごとく、ピシィッとまっすぐに背を伸ばして答えた。
「そっそれで、何なの?」
獣じみた鋭い目が、二人をじっと睨みつけた。
「えっ!?えっ!?・・・・ってコトは、士~度―っ!!!!」
銀次(タレ)は、喜びをこめて男に飛びついた。蛮の時と同様、肩に乗ってじゃれじゃれする。
「士度~っっ!会いたかったよう。久しぶりだねえ。・・・・それにしても、士度どうしてこんなこところに?」
キョトンとした表情で、銀次は問い掛けた。
すると、男は「ようやっと気づいたか・・・・。」と言わんばかりに、ため息をついて言った。
「お前ら、ここに入って地上に戻るつもりなんだろ?じゃあ、一つ忠告しておいてやる。特に、そこの金髪の。」
男は、銀次を指差して言った。
「・・・・オっ、オレ?」
銀次は、ぽかんとしたまま、人差し指を自分に向けた。
(水臭いなあ。ちゃんと名前を呼んでくれればいいのにさ。)
「お前は、ここのモンじゃねえだろ?まあ、もっとも、お前がそうじゃなきゃあ、そこのツンツン頭は地上へは戻れねえだろうがな。」
「ああ゛?ツンツン頭だ?だーれーに向かって言ってやがるこのサル回しが。」
「あああっ、蛮ちゃんお願い落ち着いてぇぇ。」
すると、二人の様子にあきれたようにして、男は言った。
「ものはたとえだ。それに俺は、お前らの名前を知らねぇ。」
「そっそうなの?」
じゃあ、士度のそっくりさん?
首を何度もかしげながら、銀次(タレ)は男の顔をまじまじと見つめた。
「何だ、どうかしたか?」
銀次(タレ)のつぶらな瞳を見ると、男は、どこか不審げに銀次を睨んできた。
(・・・・やっ、やっぱり、似てる。っというか、ほんとに瓜二つなんだけどなぁ・・・・)
「うっ、え~と、なんでもないですっ!」
すっかり硬直してしまった銀次(タレ)は、鬼教官に名指しで呼ばれた生徒のごとく、ピシィッとまっすぐに背を伸ばして答えた。
「そっそれで、何なの?」
―この先に洞窟があります。そこを抜ければ、川を渡らずとも地上へ戻ることが出来ますよ・・・
「ねえ、蛮ちゃん、ここだよね?赤屍さんの言ってた洞窟ってのは?」
二人は今、まさに、大王の言っていたとおりの大きな洞窟の前に立っていた。
「ああ・・・・。どうやら、そうらしいな。」
蛮は、素っ気なく返事した。
「じゃ、ここに入ればいいんだよねっ!」
言うが否や。
銀次は、さっそく洞窟の暗がりに足を突っ込み―
・・・・っと。
「待った。」
どこからともなく、そんな声がした。ビクっとして、銀次は足を引っ込めた。
「・・・・だっ誰っ!?」
二人は、険しい表情で辺りを見回した。
するとどうだろう、よく見れば、洞窟の入り口近くに、一人の男が立っているのが見えた。
男は黒っぽい服を着、洞窟の壁にもたれかかりながら、目を伏せていた。
「てめぇ・・・・まさか、サル回しか?」
蛮は、警戒心を強めながら男に問い掛けた。
・・・新章突入!
このあたりなんかは、明らかなアノパロディですね。
ところで皆様。
今季号のかつくら(活字倶楽部)はもうご覧になりましたでしょうか?
『「ヴァンパイア」カタログ!』という特集記事が組まれていて、トリブラのことも、わりと取り上げておりましたよ♪
おおっ!わりと持ち上げてるじゃんっ!ってカンジで☆
まだだ!という皆様。
どうぞ一読あれ☆
「ねえ、蛮ちゃん、ここだよね?赤屍さんの言ってた洞窟ってのは?」
二人は今、まさに、大王の言っていたとおりの大きな洞窟の前に立っていた。
「ああ・・・・。どうやら、そうらしいな。」
蛮は、素っ気なく返事した。
「じゃ、ここに入ればいいんだよねっ!」
言うが否や。
銀次は、さっそく洞窟の暗がりに足を突っ込み―
・・・・っと。
「待った。」
どこからともなく、そんな声がした。ビクっとして、銀次は足を引っ込めた。
「・・・・だっ誰っ!?」
二人は、険しい表情で辺りを見回した。
するとどうだろう、よく見れば、洞窟の入り口近くに、一人の男が立っているのが見えた。
男は黒っぽい服を着、洞窟の壁にもたれかかりながら、目を伏せていた。
「てめぇ・・・・まさか、サル回しか?」
蛮は、警戒心を強めながら男に問い掛けた。
・・・新章突入!
このあたりなんかは、明らかなアノパロディですね。
ところで皆様。
今季号のかつくら(活字倶楽部)はもうご覧になりましたでしょうか?
『「ヴァンパイア」カタログ!』という特集記事が組まれていて、トリブラのことも、わりと取り上げておりましたよ♪
おおっ!わりと持ち上げてるじゃんっ!ってカンジで☆
まだだ!という皆様。
どうぞ一読あれ☆
「・・・・十兵衛?」
花月は、訝しげに振り返った。
彼の傍らの立つ男が、寡黙なまま、駆け出そうとしていた花月の肩をしっかり掴んでいた。
「お前にはもう、関係のないことだ。放っておけ。」
十兵衛は、どこか威圧感の感じられる声で、そういった。
彼の言葉は、あくまでそっけない。
しかし、命令口調にも似たその言動に、さりげない彼の優しさが含まれているのを、花月は決して見落とさなかった。
花月は、静かに頷くと、口をつぐんだ。
再び前を向けば、何も知らぬまま、無邪気に喜ぶ銀次の姿が見えた。
嬉しそうな彼らの姿が、過去の映像とダブる。
―「やったな、花月!これでお前はもとの世界へ戻れるぞ!」
―「うん、そうだね、十兵衛。」
(・・・・同じだ。)
過去の彼らがそうであったように、
あの二人もまた、同じ運命を辿るのであろうか?
「・・・・そうだね。十兵衛。」
呟く花月の声に反応したのか。
蛮は、片手を銀次に引っ張っていかれながら、ふと後ろを振り返った。
「もう~蛮ちゃんってば、ちゃんと歩いてよう。」
足を止めた彼に対し、背中の方で、銀次の不満そうな声がする。
しかし、次の瞬間、そんな銀次の声も、彼には届かなくなってしまった。
「―っ!」
蛮の体が、一瞬にして凍りついた。
彼の視線の先、そこには、
獲物を逃がさんとじっと彼らを見つめる、凶悪な大王の瞳があった・・・・
花月は、訝しげに振り返った。
彼の傍らの立つ男が、寡黙なまま、駆け出そうとしていた花月の肩をしっかり掴んでいた。
「お前にはもう、関係のないことだ。放っておけ。」
十兵衛は、どこか威圧感の感じられる声で、そういった。
彼の言葉は、あくまでそっけない。
しかし、命令口調にも似たその言動に、さりげない彼の優しさが含まれているのを、花月は決して見落とさなかった。
花月は、静かに頷くと、口をつぐんだ。
再び前を向けば、何も知らぬまま、無邪気に喜ぶ銀次の姿が見えた。
嬉しそうな彼らの姿が、過去の映像とダブる。
―「やったな、花月!これでお前はもとの世界へ戻れるぞ!」
―「うん、そうだね、十兵衛。」
(・・・・同じだ。)
過去の彼らがそうであったように、
あの二人もまた、同じ運命を辿るのであろうか?
「・・・・そうだね。十兵衛。」
呟く花月の声に反応したのか。
蛮は、片手を銀次に引っ張っていかれながら、ふと後ろを振り返った。
「もう~蛮ちゃんってば、ちゃんと歩いてよう。」
足を止めた彼に対し、背中の方で、銀次の不満そうな声がする。
しかし、次の瞬間、そんな銀次の声も、彼には届かなくなってしまった。
「―っ!」
蛮の体が、一瞬にして凍りついた。
彼の視線の先、そこには、
獲物を逃がさんとじっと彼らを見つめる、凶悪な大王の瞳があった・・・・
不意に銀次の後ろから、大王が顔を覗かせた。
「うわあぁっ!ええっと、はいっ、そうですっ!!」
銀次は心臓が飛び出しそうなショックで飛びのきながら、そう叫んだ。
(そうだった・・・・この人がいるのをすっかり忘れてた!!)
「でしたら・・・・そうですね、返してあげないこともないですね。」
「えっ!!!」
「「えっ!?」」
銀次は単純に喜びの声を上げたが、周りのもの ―特に、蛮と花月のどよめきは凄かった。
しかし、それを無視して大王は言った。
「いいでしょう。二人とも帰ってください、地上へ。もともと、私がわがままであなたをおひきとめしたのです、邪眼の、美堂蛮を。しかし、こうまでも熱烈にあなたを慕うものがいるとなれば、ここにあなたを留めておくのもむごい話だ。ですから、さあ、お戻りください、あなたたちの住むべき場所へ。」
「えっ!えっ!?・・・・ってコトは、オレたちまた戻っていいってことなんだよねっ!?ゲットバッカーズを続けられるってコトなんだよねっ!?蛮ちゃん!!」
「あ、・・・・ああ・・・・?」
「よーしっ!帰ろうっ蛮ちゃん!」
「おい、ちょっと待て銀次!」
しかし、胡散臭げに大王を見つめる蛮の手を引いて、嬉しそうに歩き出した。
「さよーならぁー、赤屍さーん、お元気でーっ!」
そして、出来ればもう二度と会いたくないです、と心の中で付け加えて、銀次は大王に手を振った。大王は、それに実ににこやかな笑顔をもって返す。
「あっ、銀次さん、待っ・・・・!」
その瞬間、何かを告げようとした花月が、銀次たちに向かって駆け出した
―否。
「うわあぁっ!ええっと、はいっ、そうですっ!!」
銀次は心臓が飛び出しそうなショックで飛びのきながら、そう叫んだ。
(そうだった・・・・この人がいるのをすっかり忘れてた!!)
「でしたら・・・・そうですね、返してあげないこともないですね。」
「えっ!!!」
「「えっ!?」」
銀次は単純に喜びの声を上げたが、周りのもの ―特に、蛮と花月のどよめきは凄かった。
しかし、それを無視して大王は言った。
「いいでしょう。二人とも帰ってください、地上へ。もともと、私がわがままであなたをおひきとめしたのです、邪眼の、美堂蛮を。しかし、こうまでも熱烈にあなたを慕うものがいるとなれば、ここにあなたを留めておくのもむごい話だ。ですから、さあ、お戻りください、あなたたちの住むべき場所へ。」
「えっ!えっ!?・・・・ってコトは、オレたちまた戻っていいってことなんだよねっ!?ゲットバッカーズを続けられるってコトなんだよねっ!?蛮ちゃん!!」
「あ、・・・・ああ・・・・?」
「よーしっ!帰ろうっ蛮ちゃん!」
「おい、ちょっと待て銀次!」
しかし、胡散臭げに大王を見つめる蛮の手を引いて、嬉しそうに歩き出した。
「さよーならぁー、赤屍さーん、お元気でーっ!」
そして、出来ればもう二度と会いたくないです、と心の中で付け加えて、銀次は大王に手を振った。大王は、それに実ににこやかな笑顔をもって返す。
「あっ、銀次さん、待っ・・・・!」
その瞬間、何かを告げようとした花月が、銀次たちに向かって駆け出した
―否。