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トリブラに愛を注ぎつつ、私的おすすめ本の紹介や、読んだ本にまつわるssなど、思いつくままに・・・
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「・・・・十兵衛?」

花月は、訝しげに振り返った。
彼の傍らの立つ男が、寡黙なまま、駆け出そうとしていた花月の肩をしっかり掴んでいた。

「お前にはもう、関係のないことだ。放っておけ。」

十兵衛は、どこか威圧感の感じられる声で、そういった。
彼の言葉は、あくまでそっけない。
しかし、命令口調にも似たその言動に、さりげない彼の優しさが含まれているのを、花月は決して見落とさなかった。

花月は、静かに頷くと、口をつぐんだ。
再び前を向けば、何も知らぬまま、無邪気に喜ぶ銀次の姿が見えた。
嬉しそうな彼らの姿が、過去の映像とダブる。

―「やったな、花月!これでお前はもとの世界へ戻れるぞ!」
―「うん、そうだね、十兵衛。」

(・・・・同じだ。)

過去の彼らがそうであったように、
あの二人もまた、同じ運命を辿るのであろうか?

「・・・・そうだね。十兵衛。」

呟く花月の声に反応したのか。
蛮は、片手を銀次に引っ張っていかれながら、ふと後ろを振り返った。

「もう~蛮ちゃんってば、ちゃんと歩いてよう。」

足を止めた彼に対し、背中の方で、銀次の不満そうな声がする。
しかし、次の瞬間、そんな銀次の声も、彼には届かなくなってしまった。

「―っ!」

蛮の体が、一瞬にして凍りついた。
彼の視線の先、そこには、
獲物を逃がさんとじっと彼らを見つめる、凶悪な大王の瞳があった・・・・

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