トリブラに愛を注ぎつつ、私的おすすめ本の紹介や、読んだ本にまつわるssなど、思いつくままに・・・
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
「・・・・十兵衛?」
花月は、訝しげに振り返った。
彼の傍らの立つ男が、寡黙なまま、駆け出そうとしていた花月の肩をしっかり掴んでいた。
「お前にはもう、関係のないことだ。放っておけ。」
十兵衛は、どこか威圧感の感じられる声で、そういった。
彼の言葉は、あくまでそっけない。
しかし、命令口調にも似たその言動に、さりげない彼の優しさが含まれているのを、花月は決して見落とさなかった。
花月は、静かに頷くと、口をつぐんだ。
再び前を向けば、何も知らぬまま、無邪気に喜ぶ銀次の姿が見えた。
嬉しそうな彼らの姿が、過去の映像とダブる。
―「やったな、花月!これでお前はもとの世界へ戻れるぞ!」
―「うん、そうだね、十兵衛。」
(・・・・同じだ。)
過去の彼らがそうであったように、
あの二人もまた、同じ運命を辿るのであろうか?
「・・・・そうだね。十兵衛。」
呟く花月の声に反応したのか。
蛮は、片手を銀次に引っ張っていかれながら、ふと後ろを振り返った。
「もう~蛮ちゃんってば、ちゃんと歩いてよう。」
足を止めた彼に対し、背中の方で、銀次の不満そうな声がする。
しかし、次の瞬間、そんな銀次の声も、彼には届かなくなってしまった。
「―っ!」
蛮の体が、一瞬にして凍りついた。
彼の視線の先、そこには、
獲物を逃がさんとじっと彼らを見つめる、凶悪な大王の瞳があった・・・・
花月は、訝しげに振り返った。
彼の傍らの立つ男が、寡黙なまま、駆け出そうとしていた花月の肩をしっかり掴んでいた。
「お前にはもう、関係のないことだ。放っておけ。」
十兵衛は、どこか威圧感の感じられる声で、そういった。
彼の言葉は、あくまでそっけない。
しかし、命令口調にも似たその言動に、さりげない彼の優しさが含まれているのを、花月は決して見落とさなかった。
花月は、静かに頷くと、口をつぐんだ。
再び前を向けば、何も知らぬまま、無邪気に喜ぶ銀次の姿が見えた。
嬉しそうな彼らの姿が、過去の映像とダブる。
―「やったな、花月!これでお前はもとの世界へ戻れるぞ!」
―「うん、そうだね、十兵衛。」
(・・・・同じだ。)
過去の彼らがそうであったように、
あの二人もまた、同じ運命を辿るのであろうか?
「・・・・そうだね。十兵衛。」
呟く花月の声に反応したのか。
蛮は、片手を銀次に引っ張っていかれながら、ふと後ろを振り返った。
「もう~蛮ちゃんってば、ちゃんと歩いてよう。」
足を止めた彼に対し、背中の方で、銀次の不満そうな声がする。
しかし、次の瞬間、そんな銀次の声も、彼には届かなくなってしまった。
「―っ!」
蛮の体が、一瞬にして凍りついた。
彼の視線の先、そこには、
獲物を逃がさんとじっと彼らを見つめる、凶悪な大王の瞳があった・・・・
PR
この記事にコメントする